2012 Fiscal Year Research-status Report
高効率セキュアモバイルアドホックネットワークに関する研究
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23560465
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹瀬 巌 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00187139)
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Keywords | MANET / ルーチング / MAC / センサネットワーク / クラスタ / QoS |
Research Abstract |
本研究では, セキュアなモバイルアドホックネットワーク(MANET)における, 省電力, リアルタイム性, 高信頼性, および高スループットを満たすルーチングとメディアアクセス制御方式(MAC)について検討を行い, 以下の成果を挙げた. 1.Mobile IPv6の端末認証またはアドホック端末の認証などにFFSを適用した場合,認証に必要な計算により発生するDoS攻撃の影響を低減するため, 問題数を複数に分割した際の演算量とメモリ量の評価を行い,低減可能な演算量に限界があることを示した. 2.ノードがクラスタ化されたアドホックネットワークで協調通信を行う場合の, 各クラスタ内のノードの受信電力と衝突確率に基づくリレー選択基準とルーチング方式を提案し, 多少複雑にはなるものの, 低電力化に有効であることを示した. 3.モバイルセンサネットワークにおいて,隣接センサノード間の距離とセンサノードの位置推定誤差を考慮することで, 位置推定誤差を従来と同程度に保ちつつ,冗長な位置推定パケット数を低減する位置推定法を提案した.計算機シミュレーションにより,提案方式は位置推定誤差を低く保ちつつ,冗長なパケット数を低減し,消費電力を低減できることを示した. 4.クラスタ化されたアドホックネットワークにおいて, 1次利用者と2次利用者が同じ周波数を利用するコグニティブ無線環境下で、優先権の低い2次利用者に協調通信を適用する協調コグニティブ無線通信方式を提案し, マルチホップ数を少なく保つことにより,パケット到達率が改善できることを明らかにした. 5.MANETにおける経路選択肢・経路容量・経路遅延などを考慮したEnd-to-End のQoSを考慮したゲートウェイ選択法を提案し, 計算機シミュレーションにより, 少ない電力でスループットやパケット到着率を改善できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書に記載した研究内容に関しては、順調に成果をあげており、その成果は、論文誌4編, 国際会議で5編、研究会で4件の論文発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は,実施計画書の研究目標に記載したサブテーマを継続して行うが, 進捗状況に応じて, これらのサブテーマの研究成果を適宜組み合わせて研究を行う. ネットワークシミュレーンに関しては, C+および現有しているMATLAB, NS2のソフトウエアと, 昨年度購入したQualnetを用いて, シミュレーション環境を一層充実させる. さらに, 理論解析や計算機シミュレーションで得られた特性改善成果を実験的に裏付けることができるかどうか検討し, 必要に応じて, アドホックセンサ端末,制御用PC,無線ネットワーク機器などの購入も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究内容は以下の通りである. 1. IP 電話の普及に伴い,通話頻度,平均通話時間などの特徴量を用いて,迷惑電話を発信するアカウントを判別する方式が検討されているが.判別精度はあまり高くない.そこで,多くのユーザが1つのSIPサーバを利用することに着目し,教師なしRandom Forestsに複数の特徴量を入力し,各ユーザの通話の特徴に関する類似度を基に迷惑電話を発信するアカウントを分類する方式を検討し, 迷惑電話発信者が発信する相手は通話毎に異なり,その通話先から電話が掛け返される割合が低いことに着目し,これらの割合を顕著に表す2つの特徴量を用いた方式の有効性について検討を行う. 2. エナジーハーベスティング(EH)により電力を供給する無線センサネットワークでは,不安定な電力供給により, パケット伝送の信頼性低減が問題となる.そこで,パケットロスの検知を行うことのできるバッテリ駆動のセンサノードを少しだけ併用することで,長期間の稼働とともに異常検知後に信頼性の高いデータ収集を行う方法を提案し, パケットロスが発生した場合の再送を可能にすることにより,その程度パケット到達率が向上できかどうかの検討を行う. 研究費は、主に、シミュレーションに必要な高速なPC,および,ソフトウエア, 消耗品の購入, 研究遂行に必要な謝金, 成果発表のための旅費で使用する。さらに, 理論解析や計算機シミュレーションで得られた特性改善成果を実験的に裏付けることができるかどうか検討し, 必要に応じて, アドホックセンサ端末,制御用PC,無線ネットワーク機器などの購入も検討する.
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Research Products
(16 results)