2011 Fiscal Year Research-status Report
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23560468
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
陶山 健仁 東京電機大学, 工学部, 准教授 (50303011)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロホンアレー |
Research Abstract |
平成23年度は,実環境実験により16チャネルマイクロホンアレーを用いた複数移動話者追尾手法について性能検証を行なった。実際に会議室環境では,追尾性能が残響や騒音の影響を大きく受ける。これらの影響は計算機シミュレーションでは簡単に再現できないため,実環境で収録した音響信号を用いた検証が必須である。また,将来的に検討手法をヒューマンインタフェースの1つとして実現したいと考えているため,音源として比較的指向性の強い音響放射特性を有するスピーカのみを用いた実験では追尾性能を十分に検証できるとは言い難いため,実際に人が移動しながら発話する状況で音響信号を収録した。会議室は残響時間が0.5[s]と比較的長い部屋であったため,残響に対する追尾のロバスト性を調査するうえで好ましい状況であった。複数話者追尾手法では,話者が無音状態のままで移動し,再び発話状態になった際に,話者を見失う問題や追従遅れの問題などが既知の問題として知られている。検討手法ではその問題に対し,これまでマイクロホン間の瞬時位相差から推定した音源方向のヒストグラムを用いて発話状態の検出ならびに探索範囲の再設定を行なってきた。この手法は演算量の面では優位であるが,精度が低いことが問題であった。そこで検討手法では遅延和アレーによる空間スペクトル推定を用いて,探索範囲の再設定を行なった。その際,遅延和アレー処理に用いるマイクロホン間隔を16個マイクロホンと比べ4倍に広げるかわりに使用するマイクロホン数を4個に限定した。これは空間解像度を向上するとともに演算量を削減可能である。実験結果より,従来法と同等のリアルタイムファクタ0.6を維持しつつ,平均2乗誤差を2°低減することに成功した。また,次年度からの実装に向けたDSPの調査も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアルタイム話者追尾システムの実現のためには,検討手法の動作特性を明らかにする必要があるが,今回の実験で利用した室環境は通常の部屋より残響時間が長い(0.5[s]程度)環境であり,追尾性能が劣化しやすい状況である。そのような環境においても,平均2乗誤差が6°程度の追尾に成功したことから実システム化への可能性が期待できるといえる。また,リアルタイムファクタが1以下であるため,リアルタイム化も十分に期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終的な目標はリアルタイム話者追尾システムの構築であるため,今後はシステム構築を進める予定である。具体的にはDSPを用いたシステムならびにPCに多チャネルAD変換器をUSB接続したシステムでの実現を目指すが,両システムともに多チャネルADからの信号入力の調査を最初に行なう予定である。さらに,追尾結果の表示についてPCの場合はグラフィックライブラリを用いた描画,DSPの場合は表示デバイスを接続した表示が必要となるが,特にDSPの場合,多チャネルAD変換器と表示デバイスを同時に使用する必要があるため,共有メモリを用いた並列処理を行なう必要があり,その調査をする予定である。以上の調査を経て,最終的に既にオフラインで実装済の話者追尾法を実システムに実装し,実環境実験を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,DSPを用いたリアルタイム信号処理システムについて調査するとともに,話者追尾結果の表示のためのインタフェースについて調査する。そのため,DSPとして使用予定のTMS320C6713用ビデオ拡張カードを購入し,その表示方法ならびに表示速度について検証する。具体的には64[ms]ごとに得られる追尾結果の表示速度の調整を行なう。また,多チャネルAD変換器と表示デバイスを同時に使用するための並列処理化のためのインタフェースも導入する。平成25年度には実環境実験における音響条件の測定のための小型FFT分析器の導入を予定している。
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Research Products
(2 results)