2012 Fiscal Year Research-status Report
センサーメッシュネットワークを用いた測位と空間情報共有技術の研究
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23560474
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
坪井 利憲 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (20329171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 信喜 千葉大学, 融合科学研究科(研究院), 助教 (70409796)
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Keywords | 屋内位置推定 / ZigBee / 3点測量 / LQI / 電波伝搬シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は主にZigBee位置計測方法とデータ伝送方法について検討した。 1.ZigBee電波特性実験と電波伝搬シミュレーション-ZigBee位置推定方法としては3点測量を基本とする。基準ノードと位置計測点間の距離推定に必要なZigBee電波伝搬特性を電波伝搬シミュレーションにより検討した。シミュレーションの正確さを評価するために電波暗室において、ZigBeeアンテナ角度や放射面と伝搬特性の関係を調べた。さらに、ZigBeeの伝送特性を示すLQI(Link Quality Indicator)と受信電力強度(RSSI)の相関関係を実験により求めた。これらの研究から種々の環境下における距離とLQIの関係式を求めた。電波暗室のような反射のない状況では、LQIとRSSIの相関関係は強いが、教室のような実環境下では分散が大きく、位置計測の誤差が大きくなることが分かった。 2.位置計測方法-教室のような実環境下でLQIを用いた距離推定を行い、3点測量方法で位置を求める実験を行った。この方法は理想的には3つの円が1点で交わるが、距離推定精度が悪くなると、3つの円の交点が2,4,6個であったり、最悪交点がない場合が生ずる。教室の15箇所で実験を行ったところ、交点0で位置推定不可能が5箇所、交点2が5箇所、交点4が4箇所、交点6が1箇所であった。交点を有する場合の位置計算方法を開発し位置推定を行ったところ、推定可能な10箇所に対する位置推定誤差は97cmであった。 3.ZigBeeによるデータ伝送プロトコルとデータ伝送能力の実験を行った。プロトコル解析ソフトウェアであるWiresharkを用いてスループット測定と、パケット構造の解析を行った。ZigBeeの理論上のスループット上限は250kbpsであるが、オーバヘッドが大きく、改善が必要なことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
位置推定に関しては、ZigBeeを用いて電波暗室と実環境下で実験を行い、受信電力強度とLQIの相関関係についてデータが得られた。さらに、レイトレースを用いた電波伝搬シミュレーションにより、ZigBeeの電波伝搬特性と位置推定に関する検討を行うことができ、実験では行えない多様な環境下での研究手法を確立できた。また3点測量法の課題も明確になった。 位置情報の共有方法については、システム構成の簡易さ、情報伝送量などの比較から、最適な方法が求められた。 データ伝送プロトコルについては、基礎実験を行ったが、得られたスループットは理論値に比べ低く、更に良い方法を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
位置推定法に関してLQIを用いて基準点と測量点間の距離を測定して3点測量を行う方法は、距離の推定誤差が大きくなると、3つの円が交わらなくなり、位置推定精度が劣化する。そこで、LQIの値の分布による新しい位置推定方法の検討を行う。 ZigBeeスループット理論値に近づけられるような、データ伝送プロトコルの検討を行う。 以上の検討を基に、本課題の目標であるグループメンバー間で位置情報を共有するシステム構成を確立する。さらに、課題を整理し、次の研究テーマ設定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)実験、シミュレーションのデータ整理のための消耗品 (2)シミュレーション及び実験を行う学生と実験講師に対する謝金 (3)研究成果発表のための英文論文添削費、論文掲載費、国内及び国外学会参加費
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