2012 Fiscal Year Research-status Report
超広帯域サービスを経済的に提供可能な光アクセスネットワーク構成法に関する研究
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23560475
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
上田 裕巳 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 教授 (80367200)
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Keywords | PON / QAM / クリップ / サブキャリア / 光送信電力 |
Research Abstract |
研究代表者は,より高速で経済的な光アクセスネットワークの実現を目指して,ユーザデータをディジタル変調して伝送するSDM-PON (Subcarrier Digital Modulation Passive Optical Network)を提案し,その実現性について研究を行っている. 今年度では,各ONUとOLTの伝送路距離が10 kmから20 kmで種々異なるSDM-PONについて,先に提案したクリップ送信方式を用いて,8台のONUからOLTに同時にPRBSを伝送して特性を評価した.このとき,ユーザデータ速度を常時1 Gbpsとし,ディジタル変調は16-QAMとし,復調用のBPF (Band Pass Filter)は歪の少ないベッセルフィルタを用いた.その結果,OLTは各ONUからの伝送距離が異なり,受信レベルが異なっていても,各ONUからの送信信号をビット誤りなしに復号できることを示した. ユーザが利用できる帯域について,TDM型のPONは最大伝送路帯域をシェアした帯域となるのに対して,SDM-PONは常に1 Gbpsを保障しているところに大きなメリットがある. 更にクリップ送信方式と従来のバイアス送信方式の平均光送信電力の定量的な比較を同じビット誤り率のもとに行った.ビット誤り率10の-12乗で評価した場合,クリップ送信方式は約 8 dBだけ光送信電力の低減が図られることを示した.この結果,提案したクリップ送信方式はONUの消費電力技術として有効であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,クリップ送信方式による16-QAMを用いたSDM-PONについて,OLTと各ONUとの伝送距離が10 kmから20 kmで種々異なる場合に対してシミュレーションにより伝送特性を評価した.この結果,常時1 Gbpsのユーザデータ速度を前提に,ONU 8台までを収容するシステムの実現性を示すことができた.更に,クリップ送信方式とバイアス送信方式の同一ビット誤り率での平均光送信電力を比較し,クリップ送信方式の平均光送信電力の低減量を具体的に明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
SDM-PONにおけるクリップ送信方式の実現性について継続的に追求していく.この中でのポイントはONUの台数の増加をねらって研究を進めることである.シミュレーション時間の関係上16台を目標に,32台も視野に入れて進める.このため,復調用のBPFについて,従来適用しているベッセルフィルタより急峻な特性を実現できるバタワース等の異なる種類のフィルタについても適用して評価する.SDM-PONに誤り訂正符号の適用を行い,効果を評価する.クリップ送信方式における光送信電力について,本年度ではTIFの雑音を0として評価したが,雑音を考慮した場合の定量的な評価を行う.これまで,PONの上り方向(ONUからOLTの方向)を検討してきたが,下り方向としてSDM-PONと同様の変調を用いる点で相性のよいOFDMを適用した場合について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの成果を国際会議や国内の研究会や大会で発表するための旅費,参加費,別刷代等に使用する.また,シミュレーション実施にかかる謝金等に当てる.
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