2012 Fiscal Year Research-status Report
モード理論を用いた小形アンテナの特性改善に関する研究
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23560476
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
野口 啓介 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10278103)
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Keywords | 小形アンテナ / 広帯域化 / マルチバンド / 特性モード / 伝送線路モード / モード理論 |
Research Abstract |
本研究では,小形アンテナの特性改善をねらいに,特性モードおよび多導体伝送線路モードの理論(モード理論)による小形アンテナの解析と設計手法について検討を行い,小形アンテナの広帯域化,マルチバンド化を目的としている.モード理論を用いることにより,現在行われている電磁界シミュレータなどを用いた試行錯誤的な設計から脱却し,系統立ったシンプルな設計手法の確立を目指している. この目標に対して,平成24年度では,(1)多層または多導体で構成したアンテナの解析,(2)既存システムに適用可能な広帯域,マルチバンド小形アンテナの解析を計画した.これらのうち,(1)については2ないし3導体で構成したアンテナの解析を進め,等価回路による検討を行い,帯域の理論限界なども導出できた.しかしながら,モード理論の適用はまだ道半ばであり,シミュレーション値や実測値との差異が生じるなどの問題があり,今後詳細に検討を進める予定である. (2)については,既存システムとして地上デジタル放送向けに設計し,全帯域ではないが,所要の帯域470~600MHzについて設計した.全帯域は470~770MHz(中心周波数に対し48.4%)と相当広いため,この帯域をカバーする設計について検討を進める.また,実際に薄型TVなどに搭載した場合なども扱い,周辺回路との結合の問題なども考慮する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度も23年度同様,おおむね研究計画に沿って研究を進めることができた.幸いにも24年の途中に本研究で対象としている特性モードの解析機能が購入設備のシミュレータに設けられ,比較的容易に解析が可能となった.この機能を用い,解析結果の充実を図る予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は研究計画のまとめの年度であるが,さらに(1)多層または多導体で構成したアンテナの解析,(2)既存システムに適用可能な広帯域,マルチバンド小形アンテナの解析を進める予定である.このために購入設備のシミュレータを用い,固有値解析を進めるとともに,広帯域,マルチバンド小形アンテナの設計手法について確立を目指す.また,すでに得られた結果については国内外で論文投稿しており,有審査論文への投稿も今後行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の予算において,約12万円の繰越金が発生した.この繰越金については25年度の研究活動,消耗品購入費に充てたいと考えている.24年度の計画では,学会発表と調査を目的として国外出張を1回程度,国内出張を3回程度予定し,試作実験のための資材購入費,論文投稿費,校閲費への拠出を考えている.
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