2012 Fiscal Year Research-status Report
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23560478
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
松井 一 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80329854)
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Keywords | 誤り訂正符号 |
Research Abstract |
(1)一般化準巡回符号の新しい探索法の提案:一般化準巡回(GQC)符号は,準巡回(QC)符号の符号語における各巡回長が一定でないものとして定義される.GQC符号には定義より膨大な種類が存在し,ランダムな構成法では効率的な探索を行うことができない.そのため,規則性に則った探索アルゴリズムの考案が必要となる.また,GQC符号の探索は多元低密度パリティ検査(LDPC)符号の探索にも応用できる.LDPC符号は高性能な誤り符号として注目されており,GQC符号の探索アルゴリズムの改良はLDPC符号の探索の高速化に繋がる.本研究では,GQC符号を探索するアルゴリズムとして,全探索法と素因子分解法を提案した.全探索法は,GQC符号の生成多項式行列の満たす等式をBezoutの等式の集まりとみて解いていく方法である.素因子分解法は,GQC符号の生成多項式行列の満たす等式を素因子分解することにより全探索法の高速化を行うものである.またこれらのアルゴリズムを用いた探索結果の一例も詳細に解説した. (2)局所体上の誤り訂正符号:ここで局所体とは,数論においてよく用いられる数体系であり,本研究で用いたものは,2 進数体と呼ばれるものである.本研究のもう一つの新しい内容は,2進整数環という体ではない環上のリード・ソロモン符号を扱ったことである.現在広く用いられているリード・ソロモン符号は有限体の演算を基礎としているが,本研究では,すべての演算を2進整数環の中で処理することができることを示した.また 2 を法としてみる操作により,標数2の有限体とリンクするという注目すべき構造を持っていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった「スポッティ符号の探索」については、現状では有効なスポッティ符号を数多く見つけることができず、比較的自由度の少ない符号であることが分かったため、現在では探索は行っていない。 局所体上の符号については、有限体上の符号の成果をほぼそのまま適用できることが分かった。しかも、局所環上の符号として扱うことができることも分かった。このように、期待できる方向性であることが分かったので、研究課題の最終年度においては、この方向性で研究を推し進めることとする。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)局所体上の符号に対する離散Fourier変換の応用 誤り訂正符号の符号化と復号化は離散Fourier変換(DFT)とその逆変換に対応する。研究代表者は数々の符号に対しDFTを用いた組織的符号化法を示し、またDFT演算器を共有した符号化・復号化統合システムを構成した。この手法を局所体上の符号に対し一般化し、局所体上の符号に対するコンパクトな符・復号化器を構成する。 (2)局所体上の符号に対する最急降下法の類似 本研究の後半では、LDPC符号を含む広範な符号を局所体の枠組みで捉える。LDPC符号のlinear programming復号法に対する類似として、局所体上の符号に対し最急降下法を応用する。代数的手法であるため、実数を用いるよりも収束や計算量評価の面で利点がある。 研究成果を社会・国民に発信する方法については、研究集会(情報理論とその応用シンポジウム (SITA) 等)において発表する。また学術論文をIEICE Transactions on FundamentalsやIEEE Transactions on Information Theoryに発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
並列計算を用いて符号探索の効率をさらに上げるために、PCクラスターを購入する。またそれに伴い、数式処理ソフトウェアMAGMAを購入する。
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Research Products
(6 results)