2012 Fiscal Year Research-status Report
詳細モデルに基づくマルチカーエレベータ群管理システムの高度化
Project/Area Number |
23560483
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 俊二 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (90324657)
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Keywords | マルチカーエレベータ / 群管理 / モデル化 / 衝突回避 / 呼び割り当て / 最適化 |
Research Abstract |
本研究の目的は,現実的な状況を想定した詳細なモデルに基づき,マルチカーエレベータ群管理の高度化を図ることである.平成24年度は,以下の2点をおもな目的として研究を行った. 1点目としては,呼び(乗客)割り当ての評価や衝突回避に用いる内部モデルの検討を行った.まず,このモデルとして,かごは単位時間あたり1階ずつ移動すると簡略化したモデルを考え,その妥当性を検討するために,本モデル上でかご間の衝突を回避する問題を混合整数計画問題として定式化した.つぎに,この問題を効率的に解くために,分枝限定法による厳密解法を構成した.そして,数値実験を行って本モデルの妥当性を検討した.その結果,マルチカーエレベータにより輸送効率が改善するのは,各かごあたりの停車回数を減少させて停車によるロスの影響を抑制できるためであることが明らかになった.すなわち,停車にかかる時間をモデルに組み込むことが重要であることが判明した.また,適切に呼び割り当てを行わないと,シャフトあたりのかご台数増加による輸送効率の改善効果が低下することも明らかになった. 2点目としては,非即時案内方式と即時案内の比較を,シャフトあたりのかご台数が3台以上の場合についても行った.そして,2台の場合と同様の結果が得られることを示した.また,同一シャフト内のかごの移動方向を同期させて衝突回避を簡単化するという,同期運行との比較も行い,かごの移動方向を制限しない運行方法で運行効率を改善できることも確認した. これらの成果について,国内会議において発表済・発表予定であり,また,国際会議への投稿も予定している.さらに,平成23年度の成果である,シャフトあたりのかご台数が3台以上の場合の衝突回避方法に関する国際会議発表により,Best Paper Awardを受賞している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の当初目標である,「呼び割り当ての評価や衝突回避に用いる内部モデルの検討し,その問題点を明らかにするとともに,改善を行う」はおおむね達成されており,当初の計画通りに研究は進んでいるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に繰り越した金額は約100円ときわめて少額であり,ほぼ当初計画通りに研究費の執行が行われている.したがって,平成25年度は当初計画通り,効率的な呼び割り当て方法の構築を目標に研究を進める.より具体的には,乗客がエレベータホールにやってくる時間や呼び階・行き先階があらかじめすべてわかっているものとした仮想的な問題を考えることで理想的な呼び割り当てを求め,その知見を活かしながら呼び割り当て方法の検討を行っていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費のおもな用途としては,国内・国際会議発表および資料収集にかかる旅費・参加費や,効率的な割り当て方法構築やシミュレーション実行のために必要な計算機の購入費などを予定している.これは当初の計画通りである.
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