2013 Fiscal Year Annual Research Report
低雑音・高温動作を実現する高温超伝導カイネティックインダクタンス検出器の開発
Project/Area Number |
23560497
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
島影 尚 茨城大学, 工学部, 教授 (80359091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 敦 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (70313567)
武田 正典 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80470061)
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Keywords | 超伝導デバイス |
Research Abstract |
本研究課題では、極低ノイズの特徴を有するカイネティックインダクタンスディテクター(KID)をBi2Sr2CuCu2O(BSCCO)を用いて作製することを目指している。デバイスは、高周波信号の検出を行うために、高周波帯における低損失の基板材料の選択が重要であり、低損失サファイア基板上に高品質のBSCCO薄膜の作製を行った。平成25年度までに、KID素子作製に充分な薄膜が得られなかったので、前年度に引き続き、BSCCO薄膜成膜条件の最適化実験を続けた。基板と薄膜の反応を抑制し、薄膜の結晶性を向上させるため、CeO薄膜をバッファ層として用いた。CeO薄膜の製膜条件の最適化を行った結果、BSCCO薄膜の結晶性が向上し、臨界温度が大幅に向上した。また、KID素子として重要なパラメータである準粒子ライフタイムの見積もりを行うため、BSCCO薄膜のイントリンシック接合の作成を始め、接合の作製プロセスは完成した。得られた接合から測定される電流電圧特性から、数値計算でギャップの虚部を計算し、そのフィッティングから準粒子ライフタイムを見積もることを目的としたが、電流電圧特性は非線形の特性を示したものの、ジョセフソン接合と考えられる特性までには至っていない。現在は、それを補完するために、BSCCO単結晶を用いたジョセフソン接合を用いてその解析を進めている。また、高周波デバイスとして、非常に重要となる高周波抵抗の測定を行った。測定には誘電体共振器法を用いた。CeO2バッファ層を用いたBSCCO薄膜に対し、測定温度50Kにおいて、38.2GHzで400ミリオームの値が得られた。面内方向に欠損などが存在していることを予想しており、現在もより低い高周波抵抗の薄膜作製を目指して実験を続けている。薄膜特性の向上が見られたことから、KID作製における形状などの検討を始め、現在、引き続き研究を進めている。
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