2011 Fiscal Year Research-status Report
In-vivo計測のためのボクセルベース音響放射圧加振映像法の創出
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23560499
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
三輪 空司 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30313414)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 医用超音波 / 組織弾性 / ドップラ計測 |
Research Abstract |
生体組織の硬さを生体外部から非侵襲的に定量評価できれば、癌や肝硬変など組織弾性が変化する疾病のステージ評価や予後の改善に重要な役割を果たす。しかしずり弾性波は生体組織中を反射、屈折を繰り返しながら複雑に伝播していくので空間分解能や推定精度の低下させる要因となる。 本研究の目的はではずり弾性波源を含めた計測システムの高精度化、ボクセルベースの伝播速度推定法、病変境界抽出による精度向上法を新規に開発し、これらを組み合わせたボクセルベースずり弾性波速度分布推定法を提案し、その有効性を実験で明らかにしていくことである。 本年度は、まず、高速ボクセルベース三次元ずり弾性波計測システムを開発した。開発したシステムは4素子の超音波トランスデューサアレイをアレイ方向と直交する方向に機械的にスキャンし、三次元的な分解能を得る。超音波パルスは中心周波数5MHz、バースト長4、繰り返し周期は0.1msである。加振によるドップラ情報は20ms、200パルスを単位とし、連続的に計測する。本システムにより3mm*40mm*40mmの領域を約4秒で計測可能である。 また、新規ボクセルベースの速度推定アルゴリズムを開発した。得られたずり弾性波の複素振幅分布から、微小ROIを設定し、二次元フーリエ変換することより波数スペクトルが得られる。スペクトルのピークを持つ波数から、そのROIでの伝搬速度が推定できる。本手法により、定在波を起こす振幅の大きい反射波等があったとしても、波数領域で両者を分離することができるため、その影響を低減できる。また、このROIを移動させて局所伝搬速度を推定すれば、伝搬速度の映像化が可能となる。本手法は試作システムにより寒天ファントムでの有効性を確認した。 また、任意媒質でのずり弾性波変位について有限時間差分法によるずり弾性波変位の計算コードを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の予定は、(1)3次元ずり弾性波変位計測システム、(2)3次元速度分布推定アルゴリズムの開発、(3)任意媒質でのずり弾性波変位並びに、超音波散乱体を考慮したずり弾性変位シミュレーションの開発、(4)の音響放射圧技術であった。(1)に関しては3mm*40mm*40mmの領域を約4秒で計測可能なシステムを開発し、寒天ファントム実験により、本システム妥当性が確認できた。(2)に関しては、加振波の複素変位マップの二次元フーリエ変換により、複数の波を除去し、所望波の速度情報を得る手法を開発し、寒天実験により精度向上が確認できた。また、(3)に関しては有限時間差分法を用いて、任意媒質のずり弾性波変位を計算できることを確認し、寒天実験で妥当性を確認した。(4)については基礎検討にとどまったものの、(1)(2)(3)の結果により、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降、加振法に関する検討も含めた試作システムのハードウエアを完成させる。また、より複雑な硬さの分布のファントムを作成するためのノウハウを検討する。さらに、任意媒質の速度推定シミュレーションを完成させ、実験とシミュレーションを通じて、任意の媒質における本試作システムのハードウエア最適化を図る。一方で、速度分布推定アルゴリズムや、硬さイメージングに波数ベクトルフィルタリングの概念を導入するなど、本システムに特有なイメージングアルゴリズムの開発も目指す。その後、in-vivo実験を通じたシステムの総合評価につなげる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、収束超音波照射用のパワーアンプを備品として購入する。また、音響放射圧発生用の超音波振動子や、加振用の電子回路作成、ファントム実験用の機械部品の消耗品費も計上する。さらにシミュレーション開発では、三次元のずり弾性波伝搬における変位を高速に計算したり、得られた変位から数十万個の超音波散乱体を仮定した三次元のドップラ信号生成プログラムを開発するための高速な計算機の購入も予定している。
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Research Products
(9 results)