2011 Fiscal Year Research-status Report
植物インピーダンスの精密測定とその応用に関する研究
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23560500
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
勝部 昭明 埼玉大学, 理工学研究科, 名誉教授 (70008879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 有貴 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (90344952)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 植物インピーダンス / 植物表面電位 / 細胞インピーダンス / 高速測定 / 高インピーダンス測定 / インピーダンスの等価回路 |
Research Abstract |
植物(ポトス)のインピーダンスについて測定装置を製作した。この装置は周波数が100kHz~0.0001Hzまでのインピーダンスの複素数成分測定が出来るものである。周波数を連続的に変化させてインピーダンスの測定を行い複素平面上で特性(Cole-Coleプロット)を求めた結果、高周波域では半円弧状の特性が、低周波域では直線状の特性が得られることが分かった。このうち高周波域の特性は従来から測定されているHaydenのモデルに類似であるがそれだけでは説明がつかず新しい等価回路の考察が必要であることがわかった。パラメータを種々変化させて検討した結果、植物の表面にそってのインピーダンス(沿面インピーダンス)を考慮することが必要であることがわかった。このインピーダンスは湿度に強く依存し植物内部のインピーダンスに並列に入っている。この沿面にピーダンスは、内部インピーダンスに比べて外部環境の変化(特に湿度の変化)に対して速く大きな応答を示す。 次ぎにインピーダンスのサーカディアンリズムについて調べた。その結果通常の測定法に比べ、当申請者らが提案している高インピーダンス入力の方がより明瞭なサーカディアンリズムを示すことがわかった。 次ぎに光に対してインピーダンスがどのような応答を示すか調べた。このとき同時に表面電位の測定を行い、これらの相関を調べた。表面電位では、光の照射に対しては、従来から報告されているように高速で大きなスパイク状の応答を示した。これに対しインピーダンスは光のOn-Offに対し大きな応答を示すが表面電位の変化に比べて変化が単調でその応答は遅いことがわかった。今後高速測定の手法を考慮する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究に使う実験装置(植物インピーダンスの測定装置)の製作は目標の半分程度完了したが一部未完である。また植物インピーダンスの測定に着手し等価回路の考察等は行った。またインピーダンスの光応答特性を測定しその結果を表面電位の光応答特性と比較検討した。これらは助成金により植物育成用LED照明ユニットの購入によって達成されたものである。しかし目標にあげた細胞レベルでの測定や高入力インピーダンスでの高速応答はまだ行うことが出来なかった。以上から目標の1/3程度を達成するに留まった。これは研究代表者が病気(足の複雑骨折、肺での真菌繁殖など)により長期間入退院を強いられ研究が遅れたことが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
植物の高入力インピーダンスシステムの構築を行う。これは23年度に行う予定であったが進行が遅れているものである。システムが完成したらインピーダンスの外部刺激(光、温度、湿度、ガス)に対する影響を調べる。特に光応答については光の色を変化させてその影響を調べる。植物は色の影響を強く受けることが知られているが、そのインピーダンスへの影響はこれまでほとんど知られていない。当該研究費によって購入した植物育成用LED照明ユニットを用いて、植物の成長に大きな影響を持つことが知られている赤色と青色を主にその影響を調べ、植物の活性がインピーダンスに与える影響を明らかにする。また細胞レベルでの測定を行う。 ただし健康上の理由によりこれらの研究を行うには健康状態が十分でなく補助事業廃止を申請中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
健康上の理由で研究を継続することが困難となり、補助事業廃止を申請中である。この為次年度の研究費は使用しない予定である。
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