2011 Fiscal Year Research-status Report
表面改質層センサを利用したステンレス鋼の高精度劣化診断システムの開発
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23560503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 勝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80325240)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 非破壊評価 / ステンレス鋼 / 表面改質層 |
Research Abstract |
本研究の目的は,薄膜の磁気特性を計測できる申請者が開発した電磁交流インピーダンス法(EMI)と加工変質層センサを用いて,ステンレス鋼の高精度劣化診断システムを開発することである.本年度は,主に試験装置の製作とEMI によるマルテンサイト相体積分率の評価方法について検討した.(1) ベクトルEMI 計測装置の製作および計測方法の検討今回用いる試験片の磁性層体積分率が,これまでに試行計測した試験片と比較して小さく,従来のセンサおよび計測条件では十分な計測ができないことが判明した.そこで,新たにコイルの共振を増幅効果として利用するために,コイル形状,寸法および巻数などについて検討し,今回用いる試験片程度の体積分率であっても応力による磁気特性の変化が計測可能となる条件を見出した.ただし,コイル共振を利用するために2軸コイルでは相互干渉が起こる可能性があることから,軸方向と幅方向用の2種類の単軸コイルを製作した.それらのコイルによって,試験片の軸方向と幅方向の磁気異方性を計測した結果,体積分率増加に伴う異方性の変化を計測可能なことを確認した.(2) EMI によるマルテンサイト相体積分率の定量評価式の構築マルテンサイト相を可視化するためのエッチング条件について検討し,可視化が可能な条件を確認した.現在,引張試験によって余ひずみを与えることで,マルテンサイト相体積分率を変化させた試験片を作成し,インピーダンスを計測する実験を進行中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回用いる試験片として,市販品の既に表面改質層が導入されている材料を採用したところ,従来試験してきた試験片と比較して,磁性相体積分率が小さく,これまで使用してきたセンサや計測条件では磁気特性の変化を計測できないことが判明した.そこで,新たにコイルの共振を増幅効果として利用するために,コイル形状,寸法および巻数などについて検討し,最適な条件を見つけることができた.しかし,単軸方向のみに最適なコイル条件についての決定は容易であったが,軸方向と幅方向用の2方向のコイルで同様な結果を得られる条件の決定が非常に困難をきわめた.そのため,予定より引張試験に入る時期が遅れたが現在は順調に進行中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本来は次年度に行う予定の応力下でのインピーダンス計測用装置も開発する予定であったが,センサや計測条件が全て変更されることにより,開発を一旦保留にしていたため次年度使用額が生じている.よって,次年度は応力下でのインピーダンスの計測用装置の開発と実験を行っていく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
以下の3つの項目に研究費を使用予定である.(1) 応力下でのインピーダンス計測装置と試験片の購入および製作費(2) 磁性層体積分率測定機器のレンタル経費(3) マルテンサイト相とインピーダンスの関係について発表するための国際学会旅費
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