2012 Fiscal Year Research-status Report
表面改質層センサを利用したステンレス鋼の高精度劣化診断システムの開発
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23560503
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 勝之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (80325240)
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Keywords | 非破壊評価 / ステンレス鋼 / 表面改質層 / マルテンサイト相 |
Research Abstract |
本研究の目的は,電磁交流インピーダンス法(EMI)と加工変質層センサを用いて,ステンレス鋼の高精度劣化診断システムを開発することである.本年度は,引張変形によって生じたマルテンサイト相の体積分率および組織形態と磁気特性の関係を調査した.また,応力下でインピーダンスを計測する装置の設計を行った.調査の具体的内容は,まず5%から50%まで余ひずみを与えたSUS304試験片の磁気特性をEMIによって計測した.その際,コイルの方向を変えることで,引張変形に伴う磁気異方性の変化についても評価した.次に化学エッチングと画像処理によって,引張変形量がマルテンサイト相の体積分率,組織形状と配向性に与える影響について調べた.さらに,コイルの理論式と等価介在物理論を組み合わせたステンレス鋼の磁気特性シミュレーションプログラムを開発し,EMIの評価パラメータとマルテンサイト相体積分率およびアスペクト比の関係を調べた. 以上の結果から以下のことがわかった.①引張変形量の増加ともにマルテンサイト相は針状から塊状に形態を変化させるとともに,配向性も引張方向に対して45°方向から0°方向へ遷移する.②引張変形量が小さいときは内部応力,大きくなるに従い形状異方性が磁気特性に強く影響を及ぼす.③EMIの評価パラメータは,マルテンサイト相の体積分率,応力誘起および形状異方性にそれぞれ敏感なパラメータがある.④磁場の方向を変えずにコイルの方向のみ変えてインピーダンスを計測することによって,引張変形に伴う磁気異方性の変化を評価できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遅れの原因は二つある.ひとつは前年度の実験条件の再検討によって生じた遅れの影響である.もうひとつは,当初の予想より,内部応力,マルテンサイト相体積分率とその形状異方性が練成してステンレス鋼の磁気特性に影響を及ぼすことがわかったため,それぞれの影響を調査できるように新たにシミュレーションプログラムを開発したためである.当初の計画にはなかった作業をしたため前年度の遅れを取り戻すことはできなかったが,結果の評価という点では大きな進歩をもたらした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は大きく3つの研究を行っていく ①本年度設計した装置を製作し,体積分率および組織形態の異なるマルテンサイト相を持つSUS304の磁気特性が応力によってどのように変化するか調査する. ②体積分率および組織形態の異なるマルテンサイト相を持つSUS304の磁気特性が繰り返し変形によって影響を受けるのか調査する. ③平面曲げ疲労試験機の設計・製作
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①内部応力測定のためのX線応力測定経費 ②疲労試験機の材料および製作費 ③疲労試験用試験片の材料および製作費 ④国際学会への渡航費
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Research Products
(2 results)