2011 Fiscal Year Research-status Report
脳外科手術支援用3次元非剛体画像位置合わせ法の開発
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23560506
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
金 亨燮 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80295005)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | Cyber Knife / コンピュータ画像診断支援法 / 画像位置合わせ / 相互情報量 / アフィン変換 |
Research Abstract |
サイバーナイフを利用した脳外科手術法は、脳にメスを入れることなく、放射線により腫瘍を短時間で治療することが可能なため、患者への負担が少ないという利点から、今後も活用が見込まれる。しかし、病態の解析や術前のシミュレーションを行うためには、何らかの画像処理手法を用いた位置合わせ法が求められる。これらの画像解析法を確立するため、平成23年度には、CTとMR画像の位置合わせ法を構築し、以下に示す項目を検討してその有効性について確認した。 頭部CT画像とMR画像のフュージョン画像作成における、画像位置合わせを目的としたコンピュータ画像診断支援手法(Computer Aided Diagnosis;CAD)の開発を行い、実データによる精度の検証を行った.具体的な手法としては、まず閾値処理によるノイズ除去を行った後、重心を用いた初期位置合わせを行う。次に、CT画像とMR画像に対し、それぞれの顎領域を除去して2値化した2次元投影画像を作成し、それぞれの重心を通る直線を描写し、輪郭部と直線の交点を求め、両画像の交点上の距離を算出する。そして、位置合わせの際の最適化関数とて距離の差の2乗和を最小とする変量を単純GAにより求め、位置合わせを行う。最後に、頭部の3次元画像に対してVOI(Volume Of Interest)を設置し、その範囲内で相互情報量が最大となるようにアフィン変換を施し、最終的に画像全体をアフィン変換することにより、位置合わせを行う。特に23年度には、3次元空間内の関心領域を自動により複数設定し、各空間内の類似度が最大となるところを計算することによって最適な位置合わせを行うための手法を開発し、3次元処理の自動化を加えた精度向上を図り、有効なパラメータの選定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロボットによる脳外科手術法であるサイバーナイフでの治療をターゲットとして、頭部X線CTとMRIとのフュージョン画像作成における、コンピュータ画像診断支援手法(Computer Aided Diagnosis ; CAD)を構築し、実データによる精度の検討を行うのが本申請研究の目的である。申請研究の目的を達成するためには、1)現在医療スタッフが手動で行っている位置合わせ法が全自動で行えること、2)精度を損なうことなくマニュアル操作での処理が実現可能であるなどの条件をクリアする必要がある。 平成23年度の研究実績では、提案法による成果を用いた頭部手術シミュレーションソフトウェアの開発も行った。その結果、CT画像とMR画像の異なる二つのモダリティから得られる画像間の位置合わせを行うための実験から、相互情報量を用いた精度評価で、平均0.421、という類似度が得られ良好の結果を得ることができた。また、位置合わせ結果の例からも,視覚的にも同程度の結果が得られていることが視認できた。次に、処理時間についての検討においては、提案手法は処理時間を大幅に短縮することができた。 また、MR画像CT画像の位置合わせ時に精度に大きく影響を与えるメタルアーチファクトの問題を回避するため、CT画像上の金属歯の領域を、計算領域から除外するための画像解析法の確立も図った。すなわち、CT画像上で金属歯の映り込みが発生した画像を特定し、MR画像からも処理対象外に設定する方法をとることにより、相互情報量の算出における影響を最小限に抑えるための解析法を採用し、一定の効果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
頭部CT画像とMR画像のフュージョンを行うためには、さらなる精度向上と計算時間の短縮が求められている。平成23年度に実施した高速演算法での単純GAを用いた画像の位置合わせ法では、従来法に比べて演算時間の高速化が実現でき、また、一定の精度は得られたものの、3次元画像全体を用いた画像位置合わせ法の精度を超えることはできなかった。これらの問題点を解決するため、非線形の画像位置合わせ法を導入した高精度な位置合わせ指標を導入する必要がある。また、相互情報量を評価指標とした手法に加わえて、ICP法などを併用した画像位置合わせ法の導入も検討中である。さらに、並列計算アルゴリズムを導入し、複数のコアによる分散処理を実現し、大幅な計算時間の軽減を図る予定である。 具体的には、CT画像、MR画像の初期位置合わせ法の改良法として、両画像の輪郭を正しく検出するための画像セグメンテーション法を降参する。一般に観察できる、MRの表面は、頭部の軟組織が一番外側に映っているが、CT画像上には骨組織が移っている。画像からの最適な閾値を決定することにより、両画像上の同一組織を表現し、剛体としてのるグローバルマッチングに利用する。これにより、位置合わせの精度向上が見込まれ、有意義であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究成果からの改善を図るため、並列コアを有する計算機を導入し、処理の高速化を図る予定である。具体的には、関心領域内のCT、MR画像上のボクセル空間内の類似度を評価する際、遺伝的アルゴリズムによる最適パラメータの導出を行う。このとき、各関心領域をそれぞれのコア上で演算するための並列計算をプログラム化する。これにより、さらなる計算時間の短縮を図る予定である。さらに、研究成果を積極的にアピールすため、論文投稿を行い、現在の頭部のみをターゲットとしたサイバーナイフ手術法の拡充を試みたい。
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Research Products
(2 results)