2011 Fiscal Year Research-status Report
着脱自在な構造を有する複雑管内探査用球状型アクチュエータ群の開発
Project/Area Number |
23560509
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 博之 東北学院大学, 工学部, 教授 (70192383)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | アクチュエータ / 管内検査 |
Research Abstract |
原子炉などの誤りが許されない配管の保守点検においては,超音波探傷検査などによる管外部から管内部の状況を推定する手法ではなく,管内部より複雑な壁面の状態を直接観察できる管内検査ロボットを必要としている.従来の研究において,内径20 mm以下の複雑な管内を走行可能なツールに関する研究は,殆ど報告されていない.本研究では,原子炉管内の点検・検査を行うために,CCDカメラを搭載した管内探査用の球状型アクチュエータ群を開発し,アクチュエータ本体と非常に簡略された機器のみで小口径の複雑な配管内を自由に探査可能なシステムを確立することにある.平成23年度は,90度のエルボ部を多数有する内径23 mmから30 mmの管内を長距離にわたり走行可能なアクチュエータを開発した.一般に,曲がり管のエルボ部は絞り込まれているため,入り口および出口とエルボ部の内径は異なる.アクチュエータがスムースに曲がり管内を走行するためには,異形管対策が必要となる.本研究では,アクチュエータに取付ける推進材として薄いプラスチックシートと自然ゴムとを組み合わせた2層複合材の形状を最適化することにより,パッシブ対処ながら管内径が23 mmから30 mmに変化しても安定に走行ができることを明らかにした.また,磁場解析と振動解析を行い,走行時における牽引特性を向上させる磁気回路の検討を行った.試作したアクチュエータにおいて推進部の電磁石に0.2 A の電流を流した場合,0.22 Nの牽引力で垂直上昇速度23 mm/sの推進特性が得られた.また、設計したアクチュエータを2個結合したアクチュエータ群についての検討も行い,その走行特性を測定した.アクチュエータ群は約0.5 Nの牽引力を発生しながらで30 mm/sの速度で垂直上昇することを確認した.なお,本年度において得られた結果は,論文1, 国際会議論文1として纏めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本アクチュエータの推進部はφ7 mm,全長20 mmで作製され,申請書通り推進部の体積は約2/3程度に軽減した.本アクチュエータの推進特性を向上させるための磁場解析を行い,振動体の励振力を増加させる検討を行った.電磁石に0.2 A の電流を流した場合,0.22 Nの牽引力で垂直上昇速度23 mm/sの推進特性が得られた.本アクチュエータでは,推進部の駆動と往復化のために,外径0.1mmの被覆銅線を合計5本用いている.銅線を25 mまで延長した場合の総質量は12.5g(0.12N)であるため, 1個のアクチュエータでも25 mの距離を検査することは可能である. ただしアクチュエータ電磁石への入力電流が0.2 Aでは, 電磁石の発熱の問題があり,アクチュエータを長時間駆動することはできなかった.また,本アクチュエータに搭載可能なマイクロCCDカメラが,未だ現在入手できないため,残念ながら実際の探査は実現していない.ただし全長5 mm,直径5 mm程度のマイクロカメラが入手可能であれば,直ぐに検査は可能であると考えられる.よって本年度における研究の目的は,概ね達成できていると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成成24年度は,申請書通り平成23年度にて開発された高い推進性能を有する球状型アクチュエータを, T字管内を走行可能なタイプに改良させる.本年度は球状型アクチュエータに複数個の振動体を直交配置させ,これらの振動体の位相差を制御することにより,管内で往復動作は勿論,回転動作および左右旋回動作が可能なアクチュエータを開発する.本アクチュエータは,電力増幅器2台と1台の多チャンネル型信号発生器のみで, 90度エルボ管およびT字管内を自由自在に走行させる予定である.開発するアクチュエータの移動距離は25 mを,走行速度は50 mm/s以上を最低目標とし, CCDカメラを搭載した複雑管内の走行に関する実機試験を行う.また,T字管内走行可能なアクチュエータを複数個連結した場合についても検討を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書通り複雑な管内を走行するアクチュエータ群を開発するためには,アクチュエータの走行原理を完全に確立させる必要がある.アクチュエータを駆動した場合の入力電圧の測定データの取得と振動型アクチュエータの振動解析が必要不可欠となる.よって当初の購入予定であったアクチュエータ駆動用バイポーラ電源(エヌエフ回路設計)および磁場解析ソフト(フォトン)などの備品費を高精度なFFTアナライザ(小野測器)の購入費用に当てる.また得られた結果は,国際会議の論文に投稿し,公表する予定がある.
|
Research Products
(2 results)