2012 Fiscal Year Research-status Report
着脱自在な構造を有する複雑管内探査用球状型アクチュエータ群の開発
Project/Area Number |
23560509
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 博之 東北学院大学, 工学部, 教授 (70192383)
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Keywords | アクチュエータ / 計測 / 振動 |
Research Abstract |
従来の研究において,内径25 mm程度の複雑な管内を走行可能なツールに関する研究は,殆ど報告されていない.本研究では,原子炉管内の点検・検査を行うために,CCDカメラを搭載した管内探査用の球状型アクチュエータ群を開発し,アクチュエータ本体と非常に簡略された機器のみで小口径の複雑な配管内を自由に探査可能なシステムを確立することにある. 平成24年度は,2個のカメラと4個のLEDを搭載し,分岐部を多数有する内径40 mmから50 mmの管内を長距離にわたり走行可能なアクチュエータを開発した.本アクチュエータは,3個の振動体を本体フレームに直交させて取り付け,各振動体へ入力する電力の位相を変化させることで,本体を管内で直進,回転,ターン運度できることを確認した.また,振動体上部に取付けた薄いプラスチックシートと自然ゴムとを組み合わせた2層推進材の形状を最適化することにより,パッシブ対処ながら管内径が40 mmから50 mmに変化しても安定に走行ができることを明らかにした.試作したアクチュエータにおいて,推進部の電磁石に0.268 A の電流を流した場合,0.7 Nの牽引力で垂直上昇速度8 mm/sの推進特性が得られた. また、本アクチュエータはT字の分岐部を垂直方向に,10 mm/s以上の速度でスムースに走行可能であることを確かめた.またアクチュエータは,約10 mの長さにわたり複雑な管内を目視にて検査が可能であることを確認した.更に,分岐管内走行には対処できないが,内径23mmから30mmの複雑管内を走行可能な小型アクチュエータ群も試作した.本アクチュエータ群は,U字管内を30mm以上の速度で走行することを確認した. なお,本年度において得られた結果は,論文2, 国際会議プロシーディングス1として纏めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,2個のカメラと4個のLEDを搭載し,分岐部を多数有する内径40 mmから50 mmの管内を約10mの距離にわたり,管内の損傷状態を検査可能なアクチュエータを開発した.3個の振動体を本体に直交させて取り付け,各振動体へ入力する電力の位相を変化させることで,アクチュエータを管内で直進,回転,ターン運度できることを確認したが,分岐管走行用アクチュエータでは筐体が大となり,内径25 mm程度の管内検査には未だ適用できない状態にある. ただし,内径23mmから30mmのエルボ管内の走行に対処可能なアクチュエータ群の走行原理は確立できており,上述のT字分岐管対応型との連携をうまく図り,より小型化を目指す工夫が必要である. また,内径100mmを越えるアクチュエータの開発にも着手した.小型アクチュエータと同様の動作原理では,本体の自重によりアクチュエータが走行不能に陥ったため,新たな走行原理で管内を移動可能なアクチュエータを開発中である. よって,小口径用アクチュエータについては,形状の小型化は申請書通りには進んでいないが動作原理の確立は完全に図れており,概ね順調に進展していると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,内径100mm以上の管内アクチュエータ中に,内径35mmから45mm走行用アクチュエータを挿入し,大小異なる2つの配管内を自由に検査可能なアクチュエータシステムを開発する.両者の着脱が簡単に行えるような結合方式を検討すると共に,大型のアクチュエータの動作原理を完全に確立する. (今後の推進方策) 平成25年度は,内径100mm以上の管内アクチュエータ中に,内径35mmから45mm走行用アクチュエータを挿入し,大小異なる2つの配管内を自由に検査可能なアクチュエータシステムを開発する.両者の着脱が簡単に行えるような磁気結合方式を検討すると共に,大型のアクチュエータの動作原理を確立する. 本アクチュエータは,電力増幅器2台と1台の多チャンネル型信号発生器のみで,複雑管内を自由自在に走行させる予定である.このように開発した着脱可能な2つのアクチュエータ群において,移動距離は大口径管内で25 mを,小口径管内で10m程度を想定し,小型アクチュエータに搭載するCCDカメラにより合計25mの距離で,管内の表面を目視で検査する.また,両アクチュエータの結合構造としては磁気結合を予定している.両アクチュエータが管内で瞬時に脱着できるように,永久磁石と鉄および形状記憶合金を用いた結合方式を確立する予定である.アクチュエータを駆動する場合の入力電力の計測のために,パワーアナライザやデジタルマルチメータなどの計測器を購入して,アクチュエータの走行特性を計測する.また得られた結果は,論文に投稿し,公表する予定がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書通り,口径の異なる管内を走行可させるために,着脱可能な2つのアクチュエータ群を開発するうえで,特に大型アクチュエータの走行原理を完全に確立させる必要がある.アクチュエータを駆動する場合の入力電力および電流の計測のために,パワーアナライザやデジタルマルチメータなどの計測器を購入し,アクチュエータの走行特性を詳細に計測する必要がある.また得られた結果は,論文に投稿し,公表する予定である.
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Research Products
(3 results)