2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560515
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
福田 恵子 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 教授 (70396266)
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Keywords | 近赤外分光 / 脳機能計測 / 生体計測 / 脳血流 / 皮膚血流 |
Research Abstract |
研究の目的は、近赤外光生体計測(NIRS: near infrared spectroscopy)において課題となっている測定信号に含まれる外乱を簡便な手法により大脳皮質血流から分離することにより、高精度な脳機能計測法を確立し、NIRSの活用範囲を広げて学習効果や思考力の評価などの脳機能の解析に役立てることである。このために、本研究は2種類の補正方法を併用した補正技術とプローブ配置に関して、アルゴリズム及び装置化の実現性を検証することを目的としている。 平成23年度に提案した正三角形のプローブ配置と生体模擬ファントムによる実験結果を基に、平成24年度は生体計測システムの開発と生体計測に取り組んだ。3チャネル(=1波長3光源4検出)のシステムを拡張して2波長1光源4検出及び3波長1光源2検出のシステムを試作し、生体信号の計測を行った。システム試作においてはプローブの装着方法を検討した。プローブの固定具は2段構造として正三角形の重心が頂点から等距離になるよう調整し、頭部に垂直にプローブが装着できるようにした。また、生体信号の計測を通して以下の知見を得た。 (1)姿勢変化に伴う血液量変化:3軸角度センサにより頭部の前方への傾斜角度をモニタしながら血液量変化を測定した結果、角度に比例して血液量の増加傾向が確認できた。 (2)感情の起伏に伴う皮膚血流の変化の推定:測定信号に重畳する脈波成分から心拍数を算出する手法を確立した。卓上ゲーム実施時の脳機能計測に適用し、あせりなどの感情変化に伴う血液量と心拍数の増加傾向が確認できた。 (3)多波長化3種類の波長の光を用いて酸素化・脱酸素化ヘモグロビン濃度を算出することにより、ヘモグロビン濃度変化に含まれる同相信号成分(血液量)を分離できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳機能信号に重畳する血液量の変化の影響の把握と特性の解析に関して、姿勢変化に伴う血液量変化の特性、感情の起伏に伴う皮膚血流の変化を推定に関して知見を得ることが出来ている。一方、システム構築にやや遅れが出ている。これは、多光源からの受光信号を分離技術に用いる復調技術に関して、方式確認後の精度検証にやや時間を要しているためである。生体計測に向けた検証を実施して構築するシステムに適用する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、生体計測システムの開発の最終段階として、多重信号の分離に不可欠となる信号の復調技術を検証しシステムを構築する。多チャネル化の精度検証が上述の通り遅れていたことから今年度システム構築のために必要となる部材などを購入して研究を推進する。また、光の波長を多波長化が血液量の脳機能信号からの分離に有効であることが明らかとなっている。このため、システム構築構築においては余裕があればこの点も視野に入れる。 また、生体計測に関しては計測課題として、①氷水による抹消刺激反応時の脳機能、②計算課題による脳機能、③感情変化を含むマルチタスク時の計算課題による脳機能、③感情、姿勢変化、脳機能の情報が混在する将棋等の卓上ゲームを実施する。この時の脳機能を測定し、補正効果を検証する。また、補正効果の検証に関してはファントム実験も継続して行い、ファントム実験結果を生体計測結果へ随時をフィードバックする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
生体計測システムによる脳機能計測に向けて、多チャネル化と受光点の増加への対応が必要となる。このため、光プローブファイバや頭部固定用の装着具の開発・購入のための部材などを購入する。また、微弱光の測定のためのアバランシェダイオード受光回路装置、半導体レーザ、回路部品、実験用具などを購入と回路製作のための費用を支出する。 また、本研究により得られるNIRSの精度向上の効果を学会にて発表を行うための参加費や旅費及び論文の投稿料、英文書校正代などに使用する。
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Research Products
(3 results)