2011 Fiscal Year Research-status Report
新規な熱波顕微鏡システムによる透明電極-樹脂基材層の熱物性評価法の開発
Project/Area Number |
23560516
|
Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
南出 章幸 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (20259849)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 熱波 / 透明膜 / 熱波インピーダンス |
Research Abstract |
近年、産業界では薄膜を使った製品が数多く造られている。特に透明電極であるITO(酸化インジウムスズ)膜は液晶パネルや有機ELパネルなどのフラットパネルディスプレイ用の電極として、さらには太陽電池、タッチパネル、青色発光ダイオードの電極としても使用されており、現在の産業界にはなくてはならないものとなっている。しかし、透明電極はその光学特性や電気特性についてはかなり把握されている一方、その熱特性についてはほとんど調べられていないように思われる。これは薄膜の熱物性を容易に測定する方法がないことが一因であると考えられる。そこで本研究では、申請者がこれまでに開発してきた光音響顕微鏡システムを改良した新規な"熱波顕微鏡システム"を提案し、透明電極-樹脂機材層の熱物性の簡単な評価法を開発することを目的とする。まず、透明電極内に熱源を形成する方法として(1) バッキング材を利用する方法と(2) 表面プラズモンを利用する方法の2通りを考える。各々の方法で生ずる熱波の理論解析を行った。さらに、これまでに提案してきた高分子膜の熱物性評価理論を見直し、透明電極薄膜に適用できるように検討した。具体的には透明電極の熱拡散率推定方法を理論的に検討し、透明電極の熱波インピーダンスと基板の熱波インピーダンスとのミスマッチングによる測定誤差、透明電極の熱拡散率を正確に推定するための熱拡散距離との関係などについて明らかにした。さらに透明電極-樹脂機材層の熱物性評価のシミュレーションを行った。その結果、当初予測していたよりも計測器(センサ)の精度を高くする必要があることが明らかとなり、赤外線画像センサを購入し実験準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた熱波励起および透明膜の熱物性評価に関するシミュレーションを行うことができた。基礎実験装置の組み立てはセンサの変更のために実施できなかったが、次年度に行う予定であったセンサの検討および購入を行うことができたため研究進捗には問題ないと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
購入したセンサを組み込んだ基礎実験システムを構築し、予備実験を行う。基礎実験システムの長短を明らかにし、モデル試料の評価を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
センサの変更に伴い平成23年度は前倒し請求(直接経費1,100,000円)を行った。平成23年度の残金は前倒し請求を行ったための残金である。平成24年度は基礎実験システム構築のための消耗品や旅費に使用する予定である。
|