2012 Fiscal Year Research-status Report
新規な熱波顕微鏡システムによる透明電極-樹脂基材層の熱物性評価法の開発
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23560516
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
南出 章幸 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (20259849)
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Keywords | 熱波 / 透明膜 / 熱波インピーダンス |
Research Abstract |
近年、産業界では薄膜を使った製品が数多く造られている。特に透明電極であるITO(酸化インジウムスズ)膜は液晶パネルや有機ELパネルなどのフラットパネルディスプレイ用の電極として、さらには太陽電池、タッチパネル、青色発光ダイオードの電極としても使用されており、現在の産業界にはなくてはならないものとなっている。しかし、透明電極はその光学特性や電気特性についてはかなり把握されている一方、その熱特性についてはほとんど調べられていないように思われる。これは薄膜の熱物性を容易に測定する方法がないことが一因であると考えられる。 そこで本研究では、申請者がこれまでに開発してきた光音響顕微鏡システムを改良した新規な“熱波顕微鏡システム”を提案し、透明電極-樹脂機材層の熱物性の簡単な評価法を開発することを目的とする。 昨年度、本研究で提案する手法を使った理論解析を行い、熱波インピーダンスとのミスマッチングによる測定誤差、透明電極の熱拡散率を正確に推定するための熱拡散距離との関係などについて明らかにした。さらに透明電極-樹脂機材層の熱物性評価のシミュレーションを行い、当初予測していたよりも計測器(センサ)の精度を高くする必要があることが明らかとなり、赤外線画像センサを購入し測定系を整備した。新しい測定系を使ってモデル試料の熱物性測定を行った結果、信号は測定できるものの、センサが高感度故にノイズの影響が多くなりデータの信頼性に問題が生じた。今後、この問題点を解決し透明膜の熱物性評価を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい測定系を構築し、モデル試料の信号の測定は可能になった。ノイズの影響を受けやすい欠点があるが、新測定系利用のノウハウが蓄積されつつあるので、今後の研究推進には問題ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
新測定系を使ったモデル試料の信号測定を続け、ノイズに対する対応策を検討する。その後、透明試料を使った信号測定を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は構築した新測定系のノイズ対策のための消耗品や旅費に使用する予定である。
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