2013 Fiscal Year Annual Research Report
新規な熱波顕微鏡システムによる透明電極-樹脂基材層の熱物性評価法の開発
Project/Area Number |
23560516
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Research Institution | Kanazawa Technical College |
Principal Investigator |
南出 章幸 金沢工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (20259849)
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Keywords | 熱波 / 熱拡散率 / 透明膜 |
Research Abstract |
近年、産業界では薄膜を使った製品が数多く造られている。特に透明電極であるITO(酸化インジウムスズ)膜は液晶パネルや有機ELパネルなどのフラットパネルディスプレイ用の電極として、さらには太陽電池、タッチパネル、青色発光ダイオードの電極としても使用されており、現在の産業界にはなくてはならないものとなっている。しかし、透明電極はその光学特性や電気特性についてはかなり把握されている一方、その熱特性についてはほとんど調べられていないように思われる。これは透明膜の熱物性を容易に測定する方法がないことが一因であると考えられる。 熱源を形成できない透明材料の熱拡散率を簡単に推定する方法として、私達はレーザ誘起黒鉛熱源法(Laser Induced Carbon Heat Source method: LICHS法)を提案し、種々の材料の熱拡散率の測定を行った。この方法は測定したい高分子材料(材料)を黒鉛基板(基板)に接着剤で張り付けるだけで良く、自作の音響セル内にそれを置くだけで良いため、マイクロホンPAS法が使える利点を有する。測定法に関しては密閉セル内の材料表面からの光音響(PA)信号の位相とそれを接着する基板のPA信号の位相差を測定することで材料の熱拡散率を推定できる。さらに材料の厚さdfと材料の熱拡散距離μfの比df/μfを1.2から2.0の範囲になるように照射レーザ光の変調周波数を決めれば、材料と基板の熱波インピーダンスの違いを考慮することなく、材料の熱拡散率を簡単に測定できる利点も有する。さらに接着剤の影響を補正する係数についても求めた。ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリビニリデンフッ化物(PVDF)の5種である。各測定値は公表された値と数パーセントの誤差となることが確かめられた。
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Research Products
(1 results)