2011 Fiscal Year Research-status Report
直流磁界と低周波励磁型磁気センサを用いた新しい非破壊材質劣化評価法の構築
Project/Area Number |
23560518
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
岡 茂八郎 大分工業高等専門学校, 制御情報工学科, 教授 (80107838)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非破壊検査 / 疲労 / 磁気センサ / 渦電流法 / 直流磁界 / 鉄系構造材 |
Research Abstract |
平成23年度当初は,従来から使用している直流磁界を備えていないパンケーキ型磁気センサを,試料内部の疲労を評価する際の阻害要因である表皮効果を避けるためにどの程度までの低周波励磁で使用できるかの検証実験を行った。その結果,従来の方式でも疲労評価の対象が低炭素鋼においては,従来の励磁周波数の10分の1程度の10kHz位までは十分に使用できた。この成果は,「M. Oka, T. Yakushiji, Y. Tsuchida, and M. Enokizono, "Fatigue Evaluation of Low Carbon Steel by Means of the Inductance Method Using a Pancake-Type Coil", Proceedings of The 20th MAGDA Conference in Pacific Asia, pp. 450-455, 2011(11).」で発表した。次に,当初,計画書に記述した垂直直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサを開発し予備実験を行ったが,よい結果が得られなかった。そこで,平行直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサを考え製作した。この磁気センサは,試料の裏面に試料内を試料に平行にネオジム磁石による直流磁界が印加されるように設計されている。この直流磁界により試料の見かけの透磁率を小さくし,交流励磁磁界を試料内部に浸透させるものである。現在この磁気センサの評価実験をステンレス鋼や鋼を対象に行っているところである。なお,計測ステーションの納入がメーカの都合で遅れ,この新規計測ステーションを利用した実験は本格的には始まっていない。現状では十分とは言えないが代用の機器を用いて研究を行った。この購入した機器を利用するプログラムやデータ整理の手法を納入以来順次行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記評価の理由は,第1に,従来から使用している直流磁界を備えていないパンケーキ型磁気センサの低炭素鋼を対象とした場合の疲労評価に利用できる周波数の下限が10kHz程度だと予想できたことである。この周波数は,この試験対象の低炭素鋼では表面から約0.18mm程度までの疲労に関する情報が得られることを意味し,十分とはいえないまでも従来に比べると表面の影響等が少なくよい結果であるといえる。しかし,励磁周波数の低下によって磁気センサからの疲労に関する情報が小さくなった。また,第2には,垂直直流励磁型の磁気センサでは,パンケーキ型コイルの付近に試料とは関係ない磁性体や磁石が配置され,それが試料の疲労評価に影響を与えることも分かった。また,磁気センサと一体型の直流励磁磁石の構成は,磁気センサ移動時にこの直流磁界による吸引力を打ち消す要素が必要となり測定系が複雑になる欠点があった。そこで,この磁気センサはこれらの結果から,試料の磁気センサに対して反対側から試料に平行に直流励磁することのできる平行励磁型を提案できたことも成果の一つである。現在,この平行直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサを使って,系ステンレス鋼や鋼を対象にした疲労評価実験を鋭意行っているところであり現在その結果が出つつある。よって,概ね,平成 23年度の当初の到達目標である平行直流磁界を備えた低周波励磁型磁気センサの開発ができ,その評価実験を行っていることから,80%以上の成果が得られていると考えている。これらの評価実験の成果については平成24年度の早い段階で発表する予定である。これを加味すると研究はほぼ順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,ネオジム磁石を界磁に用いた平行直流磁界を用いた低周波励磁型磁気センサの評価実験をマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS410を対象にして行っている。予備実験では,この材料は疲労によって磁性が変化しにくいため大きな検出信号ではないが,疲労による変化を捉えている。そこで,早急にこの実験の本試験を行い,パンケーキ型コイルとLCRメータを用いた疲労評価システムの評価を確定させる予定である。また,この研究の目的に沿った新たな磁気センサの開発という観点では,現在採用しているパンケーキコイル型磁気センサを用いた形式の磁気センサが疲労による磁性の変化の少ない材料では当初の性能を出せない場合は,従来から計画しているリモートフィールド型や3連コイル型などの磁気センサの開発を本年度中ごろまでには行うつもりでいる。この場合,新たにコイルを設計し外注を行わなければならないので事前に準備をする必要がある。なお,本実験室でのリモートフィールド型の使用経験が浅いため大分大学の榎園研究室の磁界解析技術の協力を仰ぐなどして進展させたいと考えている。さらに昨年度十分に活用されなかった計測ステーションを用いた疲労評価システムを用いた実験も行う予定である。現在,駆動プログラムの作成中である当初計画の計測ステーションを使った疲労評価システムの稼働を急ぎ,新たな疲労評価システムの構築も進める予定である。このプログラムの開発は,当研究室に十分なノウハウがあるので,本年度前半をめどに独自で行う予定である。この際に新規に購入する予定のプログラムフィルタを購入し,これを組み込んだ疲労評価システムも仕上げる。この新装置を用いた実験に関しては,当初は現有の装置を用いて新規疲労評価システムの構築と並行して行う。なお,新規システムが完成次第,このシステムを使った評価も行うつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在,ネオジム磁石を界磁に用いた平行直流磁界を用いた低周波励磁型磁気センサの評価実験をマルテンサイト系ステンレス鋼であるSUS410を対象にして行っている。予備実験では,この材料は疲労によって磁性が変化しにくいため大きな検出信号ではないが,疲労による変化を捉えている。そこで,早急にこの実験の本試験を行い,パンケーキ型コイルとLCRメータを用いた疲労評価システムの評価を確定させる予定である。また,この研究の目的に沿った新たな磁気センサの開発という観点では,現在採用しているパンケーキコイル型磁気センサを用いた形式の磁気センサが疲労による磁性の変化の少ない材料では当初の性能を出せない場合は,従来から計画しているリモートフィールド型や3連コイル型などの磁気センサの開発を本年度中ごろまでには行うつもりでいる。この場合,新たにコイルを設計し外注を行わなければならないので事前に準備をする必要がある。なお,本実験室でのリモートフィールド型の使用経験が浅いため大分大学の榎園研究室の磁界解析技術の協力を仰ぐなどして進展させたいと考えている。さらに昨年度十分に活用されなかった計測ステーションを用いた疲労評価システムを用いた実験も行う予定である。現在,駆動プログラムの作成中である当初計画の計測ステーションを使った疲労評価システムの稼働を急ぎ,新たな疲労評価システムの構築も進める予定である。このプログラムの開発は,当研究室に十分なノウハウがあるので,本年度前半をめどに独自で行う予定である。この際に新規に購入する予定のプログラムフィルタを購入し,これを組み込んだ疲労評価システムも仕上げる。この新装置を用いた実験に関しては,当初は現有の装置を用いて新規疲労評価システムの構築と並行して行う。なお,新規システムが完成次第,このシステムを使った評価も行うつもりである。
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Research Products
(1 results)