2011 Fiscal Year Research-status Report
双方向波長多重信号による長距離光ファイバの位相安定化技術の研究
Project/Area Number |
23560519
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
雨宮 正樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究室長 (20392582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴山 智也 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (30359111)
渡部 謙一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50358389)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 計測工学 / 情報通信工学 / クロック伝送 / タイミング信号 / 同期技術 |
Research Abstract |
高精度タイミング信号は科学、産業等の多岐の分野において同期のために必要であり、光ファイバによる高安定な伝送が期待されている。課題は光ファイバ周囲の温度変動等による位相変動をいかに抑えるかにある。そこで平成23年度は、一心の光ファイバに双方向に異なる波長の制御用信号を伝送させ、光ファイバの位相変動量を送信側で検出し、高精度に位相制御する基本検討を実施した。具体的な状況を下記に示す。 (1) 位相補償装置の開発進捗状況:応答速度の速いピエゾ素子駆動の微調用ファイバストレッチャーの制御系を試作しその動作特性を評価した。この結果、光ファイバの機械的振動による変動成分に対処可能な300Hzで安定に制御ができた。ただし、適応できる時間位相量が小さいため、長距離ファイバの位相変動に対応可能な租調用ファイバスプール(温度制御)を組合せた位相補償装置の開発に着手した。伝送路長が100 kmで周囲の温度変動15℃を想定した場合、最大位相変動量は約50 nsとなる。このため断熱化した小型のチャンバを製造し、H23年度の後半においてファイバスプールの設置と組み立てを行った。小型のチャンバをペルチェ素子で温度制御を行い、最大位相変動量に対応できる装置を実現する予定である。(2) 二重ループ位相制御系の開発状況:位相検出精度は高い周波数ほど良くなるため、10 GHzの周波数において、伝送路を往復した信号と送信信号の周波数混合による検出装置の試作を行った。この位相差情報をもとに、第1の制御ループにおいてストレッチャの制御を行ったところ応答速度として300Hzの制御が実現された。さらに適応位相変動量拡大用の第2のループにおいて、小型チャンバの温度制御をH23年度の後半において実施した。(3)短距離ファイバでのシステム実験:(1)(2)で開発した装置の伝送路適用実験に向け機材の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目標を概ね達成しているが、二重ループ位相制御系、及びシステム実験においてやや遅れている。これは平成23.3.11の東日本大震災の影響による。
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Strategy for Future Research Activity |
東日本大震災の影響により、平成23年度において676,200円(H24年度への繰越額)を次年度に使用することになった。この次年度使用額と合わせて、今後は短距離ファイバでの試験に必要な機材の準備を加速させ、性能評価を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
676,200円(H24年度への繰越額)の次年度使用額及びH24年度の研究費を合わせて、効率的、加速的に必要機器の整備とシステム試作を行い、2重制御系全体で安定に制御できるような設定パラメータを示すとともに長距離実験の準備を行う。
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