2012 Fiscal Year Research-status Report
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23560522
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
山下 善之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60200698)
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Keywords | ディペンダブル制御 / プロセス制御 / 異常診断 |
Research Abstract |
本研究は、化学プラントの運転時における各種の損失を極力少なくするために、高い信頼性を持った安全なプロセス制御システム(ディペンダブル・プロセス制御システム)を実現するための枠組みを構築することを目的としている。このシステムの実現によって、従来のシステムでは対応が困難であったような異常時における対応操作をも考慮した上での、高い信頼性と可用性、保守性、安全性を実現するプロセスシステムの設計を可能とする。その実現のためには、「異常の検出・診断」と「プロセス制御」そして、「全体の管理」の3つの基本要素を密接に関連させて研究することが不可欠である。 平成24年度は、「異常の検出・診断」におけるモデルベースの診断手法のための状態推定手法を開発し、その手法を応用した異常の検出・診断手法を提案した。その成果の一部は化学工学会の秋季大会において口頭発表した[2]。また、データ駆動型の手法と対象のプロセス知識を組み合わせる手法も開発し、その成果を口頭発表した[1][3]。 「プロセス制御」に関しては、その設計に不可欠な制御対象のモデルを構築するための手法を開発し、開発した手法を実システムへ適用してその有用性を検証した。その成果の一部については論文として投稿し、Control Engineering Practice誌にてすでに公開されている[1]。 さらに、「全体を管理」する視点から、少し広い視点からプロセス制御システムにおける情報処理技術についても整理して口頭発表[4]するとともに、論文としても発表した[3][4]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究の目的」には、「化学プラントの運転時における各種の損失を極力少なくするために、高い信頼性を持った安全なプロセス制御システム(ディペンダブル・プロセス制御システム」を実現するための枠組みを構築する。」とある。その実現のため、当初の研究計画では、平成23年度には、化学プラントの状況に応じた対応操作について、簡単なシナリオベースでの検討を経て、要素アルゴリズムの基礎的な開発を行うとある。また、平成24年度以降、開発したアルゴリズムをシナリオベースからモデルベースへと展開し、安全設計やモジュール化についても検討するとなっていた。 平成24年度には、この計画通り、モデルベースの手法を中心に研究を実施し、前ページに記載したような研究成果を挙げ発表することができた。このことから、本研究は、少なくても現在までのところ、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、これまで、おおむね当初の計画通りに順調に進展している。 平成25年度は最終年度であり、高い信頼性を持った安全なプロセス制御システム(ディペンダブル・プロセス制御システム」を実現するための枠組みを構築すべく、これまでの研究をまとめるとともに、安全設計やモジュール化についても研究を進める。さらに、開発した各種アルゴリズムをダイナミックシミュレータに適用し、ディペンダブルなプロセス制御系の有効性を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の発表のための論文投稿料、英文校閲費、国内外での学会発表のための旅費などを中心に使用する計画である。 なお、わずかではあるが平成24年度からの次年度使用額が生じたのは、主に、投稿論文1報の提出が平成25年度にずれ込んだためである、当該予算は平成25年度に使用予定である。
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Research Products
(8 results)