2012 Fiscal Year Research-status Report
ループ管熱音響冷凍機における定在波抑制制御装置の開発
Project/Area Number |
23560523
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
小林 泰秀 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (50272860)
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Keywords | ロバスト制御 / 能動騒音制御 / フィードバック制御 / ループ管熱音響冷凍機 / 指向性音源 |
Research Abstract |
(1)定在波抑制制御の基本性能検証 昨年度問題1の対策:パワーアンプキットを市販品に交換・周波数応答の測定を行いチャンネル間個体差の問題を改善した。ループ管の曲がり部分の曲率を大きくし、物理モデルと実験結果の整合性を改善した。 昨年度問題2の対策:その後さらに明らかになった問題(i)圧力センサの個体差、(ii)取り付けの影響、(iii)スタックの両側で音響パワーが変化することを考慮していなかった点、を踏まえて、スタック両側の音響パワーの変化を測定するために基本的な実験装置を製作した。具体的には直管の両端にスピーカを2個設置し、中央にプライムムーバ1個、その両側に圧力センサを2個ずつ設置し、圧力センサを移動させたときの周波数応答の差をみることにより(i)圧力センサの動的な校正、(ii)取り付けトルクの管理を行い、(iii)スタック両端の音響パワーの測定結果を従来研究と比較することにより測定方法の妥当性を確認した。管内が進行波音場となるスピーカの駆動条件が、ほぼ指向性音源の条件(スピーカ間の距離分のむだ時間特性)となることを確認した。ただし、進行波を受ける側のスピーカも電力を消費することから、効率の良いアクチュエータが望まれる。 (2)従来システムの製作:厚み1mmのフィンを有する銅製の熱交換機を2個製作し、スタック1個、ヒータ、チラーを取り付け、プライムムーバとした。これをループ管に取り付け、ヒータを加熱し、熱音響自励発振が生じることを確認した。 (3)熱音響システムにおける管内音場制御実験:直管にプライムムーバ、マイク、スピーカ各1個を設置した定在波型熱音響エンジンの音場制御を行った:ロバスト制御に基づき熱音響自励発振時のマイク出力を目標値に追従させる制御系を構成し、スタックの温度勾配が大きいほど同じ目標値に追従させるために必要なスピーカの消費電力が小さくなることを実験的に示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
問題1:熱交換部の設計・製作に関するノウハウが不足していたため、プライムムーバの製作に時間を要した。その結果、ヒートポンプ部の製作が間に合わず、従来システム(ループ管冷凍機)を構成することができなかった。 問題2:進行波を検出する際に考慮不足の点((i)圧力センサの個体差、(ii)取り付けの影響、(iii)スタックの両側における音響パワーの変化)があり、制御系設計仕様を適切に設定することができなかったため、制御系設計を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記問題1については、ヒートポンプ部とプライムムーバ部の構造は同一であるため、すぐに熱交換部を追加製作し、25年度前半に従来システムの構成を完了させる。 問題2の(i)~(iii)は解決済であり、プライムムーバの両側に圧力センサを1個ずつ設置していたものを、2個ずつ設置するよう変更し、プライムムーバおよびヒートポンプ前後の音響パワー、進行波、定在波を評価できるようにする。その上で制御系設計仕様を、管内が進行波音場かつ音響パワーが最大となることとし、制御系設計・制御実験を行う。 また、スピーカの消費電力の問題を解決するため、スピーカからダンパ・コーン紙を取り除き、ピストン、マスバネ系と組み合わせることにより、ダンピングの小さなリニアモータを構成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に、ヒートポンプ用に追加する熱交換器、圧力センサをステンレス管に取り付けるためのアダプター、ダンピングの小さなリニアモータの製作費に充てる。
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Research Products
(3 results)