2012 Fiscal Year Research-status Report
安定多様体法による非線形最適状態推定器の設計と応用
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23560525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 登 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00283416)
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Keywords | 状態推定器 / 不変多様体 |
Research Abstract |
本年度は,線形系の状態推定器であるLuenbergerオブザーバの非線形拡張理論の開発を行った.これまで,この研究に成功した報告は存在しなかったが,その理由は,従来の不変多様体理論の単純な適用が非常に難しいからであることがわかってきた.Luenbergerオブザーバを構成する不変多様体を求めるには,対象システムを安定・不安定に分ける必要がある.この時には,申請者がこれまで行ってきた安定多様体の計算理論が本質的に役立つことがわかった.この分離操作をせず非線形オブザーバを構成することはできない.本年度行った研究成果によって,いくつかの数値例で非線形オブザーバを構成できることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマは,1960年代にLuenbergerが提案した状態推定器を非線形系へ拡張する試みであり,50年以上完全な解法を見出すことができないでいた.現在までの研究によって,この拡張理論がどうあるべきかの枠組みを明らかにすることができた.これには,当初の見込みとは異なる困難が伴った.この新しい枠組みを発見したことは,大きな成果であり,進展は順調であるといってよい.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,見出した新しい不変多様体理論の適用枠組みをさらに,精緻な理論へと研究を進める.同時に,計算理論の開発とそのプログラム開発も行う.最終年度である今年度は,具体的な工学システムへの応用を行えるよう,効率的な計算環境の整備を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の重要な目的の一つは,工学システムへの応用である.これを実現するために,次年度は,計算機,プログラム開発のための環境整備,また国際共同研究をさらに発展させ,本研究成果を利用するユーザーの開拓などにも努めて行く.
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Research Products
(6 results)