2013 Fiscal Year Annual Research Report
安定多様体法による非線形最適状態推定器の設計と応用
Project/Area Number |
23560525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂本 登 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00283416)
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Keywords | 状態観測器 / シルベスター方程式 / 不変多様体 |
Research Abstract |
本年度の研究では,状態推定器を構成するための基礎方程式であるシルベスター方程式について,その非線形拡張の考察を行った.線形シルベスター方程式には,解析的な解法が既に確立されているが,非線形に拡張されたシルベスター方程式にはそれは使うことができないと一般的に言われている.本研究では,状態依存線形表現システムを用いることで,線形シルベスター方程式の解析的近似解を得られることを示した.さらに,これを用いることで非線形システムに対する状態観測器を構成する理論を構築した.この理論は,いくつかの数値シミュレーションとローレンツカオスを発生する電気回路を用いた実験によって検証した.従来の非線形状態推定器と比較すると,第一に推定器の表現が解析的に得られことで応用の際の実装が非常に容易になるという特徴をもっている.また,推定精度と適用範囲についても十分な性能を有していることが分かった.この結果は,計測自動制御学会論文集へ発表した. 上述の設計理論は近似であることを免れない一方,厳密に非線形シルベスター方程式を解き,状態推定器を設計する研究も行った.このアプローチにはこれまで研究実施者が構築した不変多様体計算理論が有効である.しかし,計算量や推定器実装に関しては不十分な点も多く,今後の研究成果を待つ必要がある.
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