2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23560530
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤崎 泰正 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (30238555)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 制御工学 / システム工学 / 数理工学 / アルゴリズム / モデル化 |
Research Abstract |
本研究課題「リスクベース最適化による制御システムの解析と設計」では,研究代表者らがこれまでに行ってきた制御システムの解析と設計のためのランダマイズドアルゴリズム・確率的手法を,リスクベース最適化という観点から整理・体系化し,研究をさらに進めて,広範囲の制御問題に対して適用可能な実用的な解析・設計手法を確立することを目指している.そのために、基礎と応用の両面から、研究を実施している. 計画1年目となる平成23年度には,リスクベース最適化の基礎について,確率近似法のリスク解析に関する研究成果を得た.確率近似法とは、未知方程式(例えば変分方程式)の解を,確率的雑音が含まれる残差より求める反復解法の一つである.研究代表者らは,線形方程式に対する確率近似法について,厳密な停止則を導出した.ここでは,残差が平均零で共分散が有界な独立同分布の加法的雑音とともに観測される場合を考えた.そして,アルゴリズムの出力する解の推定値の確率的な精度を任意に指定するとき,精度とそれを達成する反復回数との関係を,具体的に示した.また,この停止則を用いる場合,確率近似法で実行される反復回数は問題サイズの多項式であることを明らかにした.一方,リスクベース最適化の応用に関しては,有限長の入出力データにより構成される共分散行列に基づいて,モデル検証を行う方法を研究し,萌芽的な研究成果を得た.これらの成果は,雑誌論文および学会発表として研究発表している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクベース最適化の基礎について,一つ目の研究成果を雑誌論文としてまとめ,その後の進展を含め学会発表している.また,リスクベース最適化の応用について,萌芽的な研究成果を得て,学会発表している.以上より,現在までの達成度はおおむね順調であると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
計画2年目以降も,リスクベース最適化による制御システムの解析と設計について,基礎と応用の両面から課題を設定し,研究を進める.特に,基礎については,計画1年目に研究成果が得られた確率近似法のリスク解析を,確率最適化に直接適用することを考え,研究を進める.また,応用については,計画1年目に萌芽的な研究成果が得られた有限長の入出力データにより構成される共分散行列に基づくモデル検証を精密化し,制御系設計への展開を考える.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
震災に関わる状況の変化により,予定していた資料収集・研究発表・情報交換ができなくなるなどの影響があり,未使用額が生じたが,全体としての研究計画に基本的な変更点はない.実施できなかった資料収集・研究発表・情報交換については,これから順次実施し,全体として当初予定通りとなるよう計画を進めて行く.
|