2012 Fiscal Year Research-status Report
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23560530
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤崎 泰正 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (30238555)
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Keywords | 制御工学 / システム工学 / 数理工学 / アルゴリズム / モデル化 |
Research Abstract |
本研究課題「リスクベース最適化による制御システムの解析と設計」では,研究代表者らがこれまでに行ってきた制御システムの解析と設計のためのランダマイズドアルゴリズム・確率的手法を,リスクベース最適化という観点から整理・体系化し,研究をさらに進めて,広範囲の制御問題に対して適用可能な実用的な解析・設計手法を確立することを目指している.そのために、基礎と応用の両面から、研究を実施している. 計画2年目となる平成24年度には,リスクベース最適化の基礎について,シナリオアプローチの適用範囲を広げることを目指し,平均制約を含むロバスト最適化問題のためのランダマイズドアルゴリズムについて研究を進め,萌芽的な研究成果を得た.また,未知方程式の解を確率的雑音が含まれる残差より求める反復解法の一つである確率近似法については,リスク解析に関する研究を進めた.そして,確率最適化で用いられる有限差分確率近似および同時摂動確率近似に対して,厳密な停止則を導出した.一方,リスクベース最適化の応用に関しては,有限長の入出力データにより構成される共分散行列に基づいて,モデル検証を行う方法について,研究成果をまとめた.そこでは,リフティング信号に対する共分散行列で表現されたH無限大ノルムの解析条件を経由することにより,入出力データにノイズが含まれる場合でも妥当な結果を得ることができるような,ノイズに強いモデル検証アルゴリズムを構築した.これらの成果は,雑誌論文および学会発表として研究発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リスクベース最適化の基礎について,計画1年目に得られた結果について引き続き計画2年目も研究を進めるとともに、新たな萌芽的な研究成果も得て学会発表している.また,リスクベース最適化の応用について,一つ目の研究成果を雑誌論文としてまとめている.以上より,現在までの達成度はおおむね順調であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
計画3年目もこれまでと同様,リスクベース最適化による制御システムの解析と設計について,基礎と応用の両面から課題を設定し,研究を進める.特に,基礎については,計画2年目に萌芽的な研究成果が得られた平均制約を含むロバスト最適化問題のためのランダマイズドアルゴリズムについて研究を進めるとともに,確率近似法のリスク解析を精密化する.また,応用については,計画2年目に研究成果をまとめた有限長の入出力データにより構成される共分散行列に基づくモデル検証をもとに,入出力データに基づく制御系設計への展開について,検討を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画1年目における震災の影響が残り,計画2年目でも未使用額が生じたが,全体としての研究計画に基本的な変更点はない.これまでに実施できなかった資料収集・研究発表・情報交換についても順次実施し,全体として当初予定通りとなるよう計画を進めて行く.
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