2011 Fiscal Year Research-status Report
制御対象の部分構造情報と入出力データに基づく制御系設計
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23560533
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
若佐 裕治 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60263620)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 制御系設計 / 非線形性 / 入出力データ |
Research Abstract |
本研究では、制御対象の部分的な構造情報を利用して、モデルを構成することなく、データから直接制御系を設計する方法を提案する。とくに、不感帯、ヒステリシス、飽和などの非線形性の存在のみが既知で具体的な特性が未知である状況において、先行研究よりも良好な制御結果を与える方法を確立する。また、提案法の計算過程で用いられる最適化手法や適切な参照入力、参照モデルを検討し、データに基づく制御系設計法を充実させ体系化を図る。本年度の研究成果は以下の通りである。(1) データに基づく制御系設計法の代表例の一つであるFRIT (Fictitious Reference Iterative Tuning) において、不感帯のモデルを挿入してその補償を行う方法を提案した。また、この方法を不感帯を特徴としてもつ超音波モータの制御器調整に応用し、有効性を示した。これらの結果をまとめて、電気学会論文誌に発表した。(2) パラメータ数が少なく、逆モデルの計算が容易なヒステリシスモデルを提案し、このモデルをヒステリシス補償として用いた制御器調整法を提案した。この方法をヒステリシスを特徴としてもつ形状記憶合金アクチュエータの制御器調整に応用し、有効性を示した。これらの結果をSICE Annual Conference 2011にて発表した。(3) データに基づく制御系設計法は通常オフライン計算によって実行されるが、より実用的な方法を目指してFRITをベースとしたオンライン型制御器調整法を提案した。この方法の有効性をシミュレーションによって検証し、IFAC Conference on Advances in PID Controlなどで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で実施される予定であり、現在1年経過した段階である。初年度は不感帯、ヒステリシスなどの非線形性を含むシステムに対するデータに基づく制御系設計法の基礎理論の検討を行い、これらを論文誌および国際学会、国内学会にて発表した。研究は概ね当初の研究計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデータに基づく制御系設計法の理論展開と拡張を進める。具体的には、(1) FRITだけでなくVRFT (Virtual Reference Feedback Tuning) などでの非線形性の補償法の適用、(2) オンライン型制御器調整法の実験検証、(3) データに基づく制御器設計法における初期制御器パラメータ、参照入力、観測雑音の影響やこれらの相関関係の考察などを検討している。また、データに基づく制御系設計法のソフトウェア開発の検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、超音波モータ、形状記憶合金アクチュエータなどの制御実験システムの経年劣化の程度が当初予想よりも進行していなかったため、更新に係る費用が計画よりも少なくてすみ、未使用額が生じた。次年度では、この未使用額を含め、制御実験システムを適宜更新するために研究費を使用する。また、ソフトウェアであるMATLABの更新料や、資料収集、情報交換、および研究成果発表のための各種旅費に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(5 results)