2012 Fiscal Year Research-status Report
制御対象の部分構造情報と入出力データに基づく制御系設計
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23560533
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
若佐 裕治 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60263620)
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Keywords | 制御系設計 / 非線形性 / 入出力データ |
Research Abstract |
本研究では、制御対象の部分的な構造情報を利用して、モデルを構成することなく、データから直接制御系を設計する方法を提案する。とくに、不感帯、ヒステリシス、飽和などの非線形性の存在のみが既知で具体的な特性が未知である状況において、先行研究よりも良好な制御結果を与える方法を確立する。また、提案法の計算過程で用いられる最適化手法や適切な参照入力、参照モデルを検討し、データに基づく制御系設計法を充実させ体系化を図る。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1) データに基づく制御系設計法の代表例の一つであるFRIT (Fictitious Reference Iterative Tuning) において、不感帯および飽和のモデルを挿入して、その補償を行う方法を提案した。この方法を不感帯および飽和を特徴としてもつ超音波モータの制御器調整に応用し、有効性を示した。 (2) FRITとは別のデータに基づく制御系設計法であるVRFT (Virtual Reference Feedback Tuning)において、新たな評価関数を扱う修正型VRFTを提案し、これに非線形補償法を組み合わせることで制御性能が向上することを示した。 (3) データに基づく制御系設計法は通常オフライン計算によって実行されるが、より実用的な方法を目指してFRITをベースとしたオンライン型制御器調整法を提案した。この方法を超音波モータに適用し、実験検証を通して有効性を示した。 (4) FRITおよびVRFTにおける初期制御器パラメータ、参照入力、外乱の影響を近似を導入しつつ、理論的に解析することによって、これらの制御系設計法によって得られる制御器の性質を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年間で実施される予定であり、現在2年経過した段階である。これまでに、不感帯、ヒステリシス、飽和などの非線形性を含むシステムに対するデータに基づく制御系設計法の基礎理論の検討を行うとともに、実機実験を通じて有効性を検証してきた。また、より実用性を重視したオンライン型制御法への拡張を行い、有効性を検証している。これらの結果を論文誌および国際学会、国内学会にて発表した。研究は概ね当初の研究計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究最終年度に向けて、データに基づく制御系設計法のさらなる実用性の向上を目指す。具体的には、 (1) 非線形システムの推定に有効な粒子フィルタを適用することにより、非線形性を考慮したデータに基づく制御系設計法を検討する (2) 表計算ソフトを活用することによるデータに基づく制御系設計法のソフトウェアを開発する (3) 電力変換装置であるインバータの制御器に対して、データに基づく制御系設計法を応用する ことなどを検討している。また、これまでの研究成果を総括し、論文誌および国際学会、国内学会において発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、国際会議参加の予定が変更となり、当初の想定よりも旅費の使用額が少なく未使用額が生じた。次年度では、この未使用額を含め、制御実験システムを適宜更新するために研究費を使用する。また、ソフトウェアであるMATLABの更新料や、資料収集、情報交換、および研究成果発表のための各種旅費に研究費を使用する計画である。
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Research Products
(7 results)