2013 Fiscal Year Research-status Report
制御対象の部分構造情報と入出力データに基づく制御系設計
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23560533
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
若佐 裕治 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (60263620)
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Keywords | 制御系設計 / 非線形性 / 入出力データ |
Research Abstract |
本研究では、制御対象の部分的な構造情報を利用して、モデルを構成することなく、データから直接制御系を設計する方法を提案する。とくに、不感帯、ヒステリシス、飽和、バックラッシュなどの非線形性の存在のみが既知で具体的な特性が未知である状況において、先行研究よりも良好な制御結果を与える方法を確立する。また、提案法の計算過程で用いられる最適化手法や適切な参照入力、参照モデルを検討し、データに基づく制御系設計法を充実させ体系化を図る。本年度の研究成果は以下の通りである。 1. データに基づく制御系設計法の代表例の一つであるVRFT (Virtual Reference Feedback Tuning) において、新たな評価関数を扱う修正型VRFTを提案するとともに、ヒステリシスのモデルを挿入して、その補償を行う方法を提案した。この方法をヒステリシスを特徴としてもつ形状記憶合金アクチュエータの制御器調整に応用し、有効性を示した。 2. 非線形システムの推定に有効な粒子フィルタをデータに基づく制御系設計法であるFRIT (Fictitious Reference Iterative Tuning)と組み合わせ、制御対象に含まれる非線形性を考慮した制御系設計法を提案した。 3. MATLAB上で開発したプログラムを表計算ソフト(Microsoft Excel)のアドインとして組み込み、データに基づく制御系設計法のソフトウェアを試作した。 4. 電力変換装置であるインバータの制御器に対して、データに基づく制御系設計法(FRIT)を応用し、その有効性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、本研究は3年間で実施される予定であり、本年度が最終年度であった。並行して実施した複数の研究項目の大部分は、概ね当初の計画通りに進み、成果を論文誌および国際会議、国内会議にて発表した。しかしながら、一部の研究項目において、検証用実験システムを新規作成するにあたって、部品関係の不具合や納期遅延により、システム完成までに遅れが生じた。その結果、成果をまとめ、発表するに至らず、研究期間を1年延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の主目的は、さまざまな非線形性に対応する制御器調整法を開発することである。バックラッシュは代表的な非線形性であり、本研究をまとめる上で重要な検討課題である。今後、バックラッシュを考慮した制御器調整法を開発するとともに、その有効性をDCモータ実験システム上で検証する。また、これまでの研究成果を総括し、国内会議、論文誌等で発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の主目的は、さまざまな非線形性に対応する制御器調整法を開発することである。バックラッシュは代表的な非線形性であり、本研究をまとめる上で重要な検討課題である。25年度にバックラッシュを考慮した制御器調整法を開発し、実機実験によって効果を検証する予定であったが、検証用システムを作成するにあたり、部品関係の不具合や納期遅延により、システム完成までに遅れが生じた。その結果、成果をまとめ、発表するに至らなかった。 次年度に、バックラッシュを考慮した制御器調整法の成果をまとめ、国内会議で発表するとともに、学術論文として公表する。未使用額はそのための経費に充てることとしたい。また、制御器調整計算に必要な数値計算ソフトウェアMATLABの更新料にも充当する予定である。
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