2011 Fiscal Year Research-status Report
拡張極値制御方式の確立とエンジンパワートレインへの応用
Project/Area Number |
23560539
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大森 浩充 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90203942)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 適応制御 / 極値制御 / エンジン・パワートレイン / 予測制御 / 内部モデル制御 / 空燃比制御 |
Research Abstract |
研究期間における研究目的は、次の3点である。(1)可変型内部モデルを組み込んだ極値制御方式,(2)予測制御区間を設けた時間積分評価に基づく予測型極値制御方式,の2つの理論的な方法論(以下,拡張極値制御と呼ぶ)の提案と,(3) 拡張極値制御を用いたエンジン・パワートレインにおける空燃比最適化問題に対する技術応用の確立を目指す.この中で、(1)については本年度内に完了し、この新しい手法による数値シミュレーションを完了している。(2)については、理論的に解決すべき課題が存在し、複雑な制御則となってしまい、実現が現段階では難しい。(3)はMLDモデルの準線形部が完了している。以下は、実施計画に対応させた研究実績を示す。(i)拡張極値制御手法のMLDモデルに基づく問題の定式化を、摂動法、MLDモデル化、一般化予測制御、可変内部モデル原理を用いて行った。予測型の極値制御の開発は次年度の課題となった。(ii)単気筒エンジン・パワートレインのMLDモデルの導出を平均化手法を用いて行った。ただし、MAPの存在を認識していたが、現状では線形化して取り込んでいる。平成24年度には、シミュレータを用いたデータにより実在のMAPを作成することが求められる。(iii)(ii)で導出したMLDモデル表現された単気筒エンジン・パワートレインに対して、(i)で開発した拡張極値制御手法を応用した空燃比制御の数値シミュレーションを行った。事前の研究成果よりも制御性能は悪かったが、大枠の制御系ループの構成が完了した。(iv)次年度予定している実機試験の前に、MapleSim Driveline Componetを利用することを考えており、実際のサンプルモデルの作成法などを理解した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MLDモデルの導出は平成24年度に行う予定であったが、数値シミュレータ上の開発がこれまでの研究蓄積から予定よりも短期間で完了し、大きな非線形部を残すのみとなった。予測制御を極値制御に取り入れる理論的な段階で、計算量が多くなり、何らかの近似を行う必要が生じたため、完全な拡張極値制御手法の確立には至っていないが、モデル予測制御で考えられている手法などを利用することにより、平成24年の前半でこの部分の遅れは取り戻せると考えられる。さらに、最近のソフトウエアの発展を鑑みて、MapleSimを利用することを考えており、事前調査を済ませている。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
MDLモデルの作成には、実機データが必要であるが、今年度はMapleSimのが実現するコンポーネントライブラリを利用して、エンジンモデルを作成し(そこでは、平均値モデルが用いられている)、MDLモデルのMAP構成に必要なデータを収集する。さらに、モデル予測制御手法を利用することで、予測機能を取り入れた拡張極値制御方式を完成される。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度予算に48,034円の残額が生じてる。残額は国際会議の参加費(350ユーロ)に当てるものであったが、本人の参加が不可能となり、代理の発表者は別の予算にて支出可能となったために生じた分である。次年度の下記のソフトウエア購入のための経費に繰り込むことを考えている。 実機試験を行う前に、統合的な環境を実現できるMapleSimを用いた拡張極値制御方式の有効性を検証することを行いたい。そのために、平成24年度には、消耗品としてソフトウエア購入を考えている。さらに、ソフトウエア実装のためにこの分野で造形が深い、博士課程の学生2名のアルバイト代金、国際・国内会議発表のための旅費などに研究費を使用することを計画している。
|
Research Products
(12 results)