2013 Fiscal Year Annual Research Report
拡張極値制御方式の確立とエンジンパワートレインへの応用
Project/Area Number |
23560539
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大森 浩充 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90203942)
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Keywords | 制御工学 |
Research Abstract |
平成24年度に開発した単気筒エンジンのMLDモデル(Maple上に組み入れた)を用いて,様々なMAPにおけるシミュレータの開発を行った.このMLDモデルでは,数式を近似して用いるのではなく,数値データをダイレクトに用いることができるため,実機に代わるシミュレータとして精度の向上を成し遂げている.一方,比較対象とする制御系は,対象が非線形であるので,NNー学習による近似ネットワークを利用する予定であったが,NNー学習制御では,中間層の数,NNのタイプをいろいろと変えても,のぞまれる制御性能を得ることができなかった.そこで,切換型(ゲインスケジューリング)によるPID制御を行ってみたところ,それなりの性能を出すことに成功したが,事前にスケジュール点の選択とPIDパラメータのチューニングが複雑であることが判った. 一方,拡張極値制御の理論的な解析は,単純なモデルに対してのみ実施しているが,上記のMDLモデルでの有効性を理論的に確認できなかったが,(1)内部モデルの利用,(2)時間積分誤差値の利用,(3)フィードバック可変ゲインの利用の3点の拡張をアンチロックブレーキ制御で確認することができた.得られた結果は,方法論としても新規であり,路面変化があるブレーキ制御分野としても制動距離の短縮につながる成果である. 以上,本年度の研究成果をまとめると次の2点となる. (1)単気筒エンジンのMLDモデルをMAPLE上に展開し,高精度のシミュレータを開発した. (2)拡張極値制御方式の有用性を単純モデルに適用し,理論的な有用性を証明した. (3)(2)で証明された方式をアンチロックブレーキ制御に用いることで,従来の極値制御方式による制御よりも制動距離を短縮できることに成功した.
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