2012 Fiscal Year Research-status Report
周波数に基づき制御則を切換える実用的振動制御に関する研究
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23560542
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
阿部 直人 明治大学, 理工学部, 教授 (10202673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市原 裕之 明治大学, 理工学部, 講師 (70312072)
松岡 太一 明治大学, 理工学部, 講師 (80360189)
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Keywords | 制御システム / 制振制御 / セミアクティブ制御 / 動吸振器 / ダンパ |
Research Abstract |
研究目的として以下の4点をあげている。①セミアクティブ動吸振器に適したダンパの開発・制御 ②周波数に基づいた可変剛性切換制御 ③多層構造物における構造物の高次モードを抑制するセミアクティブ切換制振制御 ④周波数に基づく切換え則の理論的検討 研究分担者はダンパに関する研究を行い,円弧型制振ばねダンパおよび電磁誘導を用いた流体式ダンパの開発を行った。セミアクティブ制振制御にMRダンパは有効なダンパであるが,減衰係数を所望の値に定めることができず,バイパス型のMRダンパの設計を引き続き行う必要がある。(研究目的①) 研究代表者は昨年度得られた周波数に基づいた可変剛性切換制御の研究成果の改善を試みた。予圧縮を行うための時間短縮のために,モータではなくエアシリンダを用いた機構を作成し実験を行った。予圧縮時間の短縮は達成されたが,エアシリンダによる新たな振動が生じてしまい必ずしも十分な改善には至らなかった。さらに改善方法を探る。昨年度の結果は今年行われる国際学会に投稿中である。(研究目的②) また,二層構造物において,頭頂部の可変剛性および可変減衰動吸振器によって,1次モードおよび2次モードを周波数に応じて切り換える制振制御を昨年度達成できた。この内容を論文にまとめて日本機械学会に投稿中である。(研究目的③) 研究分担者および代表者は理論的な切り換え則を検討し,一自由度系において結果が得られた。その結果は国内の学会発表予定である。(研究目的④)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的として以下の4点をあげている。①セミアクティブ動吸振器に適したダンパの開発・制御 ②周波数に基づいた可変剛性切換制御 ③多層構造物における構造物の高次モードを抑制するセミアクティブ切換制振制御 ④周波数に基づく切換え則の理論的検討 【研究実績の概要】に示したように研究目的①については,昨年度から大きな進展はないが,問題点は明らかになってきている。研究目的②はほぼ達成できたが,さらなる改善を行っている。昨年までの結果は国際学会へ投稿中である。研究目的③については2層構造物で達成でき,論文としてまとめて現在投稿中である。研究目的④は周波数に依存しない切換則は考案できたが,周波数による切り換えの理論的考察は見通しがなかなか立たず,十分に進んでいない。 研究目的③④は極めて順調と言えるが,①がやや遅れ,④はかなり遅れているので,全体としては「おおむね順調に進展している。」と自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的①「セミアクティブ動吸振器に適したダンパの開発・制御」においては,弱い減衰を得られるMRダンパの開発をさらに進める。バイパス型のMRダンパのバイパス部の設計を改善する予定である。また,研究室での実験に適した小型化も必要となる。 研究目的②「周波数に基づいた可変剛性切換制御」は非線形ばねから所望のばね係数を得られるように円錐ばねの形状をさらに検討することと,メカニカルな可変剛性ばねの場合には,切り換えに時間がかかる問題を解決するために,エアシリンダを導入したが,それにより振動が生じてしまったため,高速にかつ振動を起こさないような機構を検討し製作実験を行う。 研究目的③「多層構造物における構造物の高次モードを抑制するセミアクティブ切換制振制御」は2層構造物について論文にまとめて投稿中であるので,その査読結果に応じて必要な改善を検討する。 研究目的④「周波数に基づく切換え則の理論的検討」はいくつかのアプローチが考えられる。昨年度考案した簡便な切換え則である「動吸振器の負荷質量をアクティブに制御できると仮定し,制御理論を用いて制御則を導き,その動きにできるだけ近づけるような剛性と減衰を選ぶようなセミアクティブ制御」は基本的な部分はできたものの,さらに可能性を考えていく。剛性と減衰は連続的に変えられない場合の対処(量子化誤差の軽減)は外乱オブザーバの考えを導入することを検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【昨年度のもの】 平成25年度の研究費はほぼ申請通りの支出を考えている。設備備品費は申請せず,その他は成果発表のための旅費,論文別刷り代,エアダンパや電子部品といった消耗品である。
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