2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオミメティックスに学ぶ非線形フィルタリングの新しい展開
Project/Area Number |
23560543
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
魚崎 勝司 福井工業大学, 工学部, 教授 (20029151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠中 利治 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (10252884)
金江 春植 福井工業大学, 工学部, 教授 (90274555)
恐神 正博 福井工業大学, 工学部, 准教授 (70298389)
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Keywords | 非線形フィルタ / バイオミメティックス / 進化計算 / 粒子フィルタ / パーティクルスウォーム最適化 / 確率近似法 |
Research Abstract |
時間的に変化するシステムの状態を、雑音の混入したその観測値をもとに推定する状態推定(フィルタリング)問題はシステム・制御の分野において基本的な問題の一つであり、多くの研究がなされてきた。しかし、システムの状態推移および観測に非線形性が存在したり、観測系に非正規雑音が混入している場合にはその処理に何らかの近似を導入することが必要で、対象に応じてさまざまな非線形フィルタが提案されてきている。 本研究ではまずこれまでに展開されてきている非線形フィルタについてその基本的概念を近似の概念から整理し、また国内外の学会における研究動向の調査も併せ、多数の個体あるいは粒子点に対する評価をもとに、個体を改良していくという共通の性質を有するバイオミメティックスにおける進化的計算、パーティクルスォーム最適化(PSO)と、非線形フィルタにおけるパーティクルフィルタ(粒子フィルタ)あるいは Monte Carlo フィルタの両者を融合した新しい非線形フィルタの開発ならびに確率近似型フィルタの改良にとりかかっている。 一方で、バイオミメティックスに属する進化戦略、パーティクルスォーム最適化について多目的最適化への拡張に関する研究を着実に行い、IEEE Congress on Evolutionary Computation (CEC 2012) などで発表し、さらに CEC 2013 にも投稿中である。 また非線形フィルタとも密接に関連する非線形システム同定についても、呼吸器系の非線形モデリングに関する研究を行い、そこにバイオミメティックスの一手法であるアントコロニー最適化手法を適用したファジー推定を行うことを考え、その成果は2012 UKACC International Conference on Control (UKACC2012)などでも発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象とする問題ごとに提案されてきたさまざまな線形フィルタについてその基本的概念の整理ならびに非線形フィルタとの関連性を考慮したバイオミメティックスの特質の整理を終え、新たなパーティクルフィルタの開発にとりかかっている。またパーティクルスォーム最適化や進化戦略、アントコロニー最適化手法などバイオミメティックスの考え方に基づく手法に関する研究も着実に行ってきている。さらに実システムへの応用として、アントコロニー最適化手法のファジーモデリングを用いた呼吸器系の非線形モデリングへの応用に関する研究も進展しており、従来のアプローチでは得られなかった非線形モデルを得ることができている。これらの研究成果はIEEE CEC、UKACC、計測自動制御学会などで発表している。異なるゲインを持つ複数の確率近似型非線形フィルタを同次並行的に運用し、それらの推定性能をパーティクルスォーム最適化の考え方に基づいて評価・統合する確率近似型フィルタなど、新しい非線形フィルタの開発と改良についてはやや遅れが生じているが、全体として計画はおおむね順調に進行しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
進化戦略型パーティクルフィルタの収束性の改良に引き続き取り組む一方、異なるゲインをもつ複数の確率近似型非線形フィルタの推定性能をパーティクルスォーム最適化の考え方に基づいて評価・統合する新しい確率近似型フィルタの開発について、性能評価と改良を研究分担者(畠中・恐神)とともに行う。さらにパーティクルスォーム最適化の概念を非定常システムのフィルタリングならびに設定外の条件下でも推定性能がそれほど劣化することのないロバスト非線形フィルタへ応用することについても検討し、成果を確率システムシンポジウム (SSS2013) ほかで発表する。 また、新しい非線形フィルタを、研究分担者(金江)が中心となって推進している呼吸器系の非線形モデリングへの応用を検討し、実システムへの応用をはかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
非線形フィルタを含めた確率システム関連図書ならびに進化戦略、遺伝的アルゴリズムなどの進化計算、パーティクルスォーム最適化などの最適化関連図書を購入する。また研究計画に関する調査ならびに研究成果発表のための国内外の学会(計測自動制御学会(SICE2013)、確率システムシンポジウム(SSS2013)、インテリジェントシステムシンポジウム(FAN2013)など)に参加するための旅費および学会参加登録料として使用する。なお研究成果を学会誌等に発表するための投稿料、研究遂行のためのソフトウエア(MATLAB、Mathematicaなど)の更新料も含んでいる。
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