2011 Fiscal Year Research-status Report
中性子を用いたセメント硬化体中の水分測定と体積変化に関する研究
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23560546
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 教授 (90164649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00224840)
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (00241745)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 中性子ラジオグラフィ / セメント硬化体 / 含有水量 / CT画像 / 体積変化 |
Research Abstract |
平成23年度の研究では、まず、中性子ラジオグラフィ法により、従来の重量法では正確に捉えることのできないセメント硬化体内部の含有湿度分布を、測定した中性子透過画像値を用いて、供試体内部の含有水量を定量化する手法の検討を行った。その結果、現在まで明確に報告がなされていない水分を含むセメント硬化体特有の質量減衰係数を求めた上で、中性子ラジオグラフィ画像の解析結果と従来の重量法の測定結果との比較により、時々刻々変化する試験体内部の含水量を精度良く定量評価できる事を見出した。 次に、画像解析上で問題となる、試験体周辺部画像のボケの影響範囲を推定し、たとえ1mm厚の円筒供試体であっても試験体表面近傍の含有水分の急激な変化を求めることが可能であるとの結果を得た。 また、本科学研究費で購入した「精密空気発生装置」を用いて、中性子照射炉内外のチャンバ-内を一定の温度・湿度に保てる環境を実現できたことにより、これら水分変化測定と体積変化実験を同時並行に実施し、水分変化に伴う体積変化現象を総合的に評価できた。 更に、CT画像解析において問題となる、水分が多く存在する試験体内部において、中性子拡散の影響による含有水分値が相対的に低く解析される問題について検討を行い、この影響の補正手法の評価を行った。 以上の23年度の研究成果は、本研究の目的である、「セメント硬化体内部の水分移動に係わる諸係数をより精度良く追求すると共に、含有湿度と体積変化の関係を明らかにし、ひび割れ抑制と制御技術の確立、及び劣化診断への展開を図る」ための研究手法を確立できたことを示している。これらの成果により、中性子ラジオグラフィ法によって、重量測定を行うこと無く、セメント硬化体内部の水分量を定量評価できる事になり、クリープなど含有水分量に係わる他の様々な現象に応用できるなど、重要な成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載した実験計画どおりに研究内容を全て実施し、当初の予定通りの成果を得ることができた。更に、今まで議論になっていない実験装置毎に存在する撮影画像の特徴(クセ)を評価しその補正方法まで検討できた。この成果は、他の研究における中性子ラジオグラフィ利用にとっても有用な成果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書に従い、中性子ラジオグラフィ試験を継続するると共に、実験結果を基にした水分移動に係わる諸係数や湿度分布状態の解析的検討を行うと共に、ひび割れ発生に伴う劣化損傷を評価していく。 また、実験の遂行にあたって、作業者全員が法令「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び「茨城大学放射線障害予防規程」に従うとともに、実験作業中は、京都大学原子炉実験所の規則を遵守し、安全かつ体調管理を怠らないことに注意を払う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験実施のための治具等の材料費(消耗品)、京都大学原子炉実験所との相互移動のための旅費(調査・研究旅費)、および研究協力者や実験補助者への謝金や解析のノウハウを提供頂く費用(人件費・謝金)などへの使用を計画している。 更に、解析に使用する解析ソフト維持のための保守費を計上している。
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