2013 Fiscal Year Research-status Report
中性子を用いたセメント硬化体中の水分測定と体積変化に関する研究
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23560546
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
沼尾 達弥 茨城大学, 工学部, 教授 (90164649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 祐司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (00224840)
原田 隆郎 茨城大学, 工学部, 准教授 (00241745)
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Keywords | 中性子ラジオグラフィ / セメント硬化体 / 含有水量 / 体積変化 |
Research Abstract |
平成25年度の研究では、前年度までの成果を踏まえ、幾何学補正と中性子散乱の影響補正、およびカメラのレンズによる空間的歪みに対する歪曲補正式について、再現性とパラメータの確定を目的として追加実験を行う予定であった。しかし、使用を予定していた京都大学原子炉実験所の研究炉が、原子炉保安新基準へ適合させるためのライフラインの整備工事や、更なる追加工事の発生などのため、H25年8月より運転停止となった状態が続き、当初に予定していた実験の実施ができず、結果の確認が取れなかった。 しかし、前年度までの結果を用いて、透過画像に及ぼす影響要因を整理すると共に、X線CT画像でも見られる、中性子散乱による中心部分で透過強度が弱まる現象(ビームハードニング効果)について考察を進め、より精度良い画像解析のための手法やその補正の可能性を見出した。 以上の結果は、本研究の目的である、「セメント硬化体内部の水分移動に係わる諸係数をより精度良く追求すると共に、含有湿度と体積変化の関係を明らかにし、ひび割れ抑制と制御技術の確立、及び劣化診断への展開を図る」ための研究手法の確立に対し補完する成果を示しており、中性子ラジオグラフィ法にるセメント硬化体内部の水分量をより精度良く定量評価できる事になり、クリープなど含有水分量に係わる他の様々な現象に応用できる、重要な成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度の研究計画調書に記載した実験計画は、実施を予定した研究炉が平成25年8月より運転停止となった状態が続き、当初に予定していた実験の実施ができなかったために、進捗が遅れている。 しかし、これまで得られた画像データの解析を進め、より精度良い画像解析のための手法やその補正の可能性を見出した。この成果は、他の研究における中性子ラジオグラフィ利用にとっても有用な成果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に予定していた研究計画調書に従い、中性子ラジオグラフィ試験を実施すると共に、実験結果を基にした水分移動に係わる諸係数や湿度分布状態の解析的検討を行うと共に、ひび割れ発生に伴う劣化損傷を評価し、成果として報告書を取りまとめる。 また、実験の遂行にあたって、作業者全員が法令「放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律」及び「茨城大学放射線障害予防規程」に従うとともに、実験作業中は、京都大学原子炉実験所の規則を遵守し、安全かつ体調管理を怠らないことに注意を払う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題遂行のため、使用を予定していた京都大学原子炉実験所の研究炉が、原子炉保安新基準へ適合させるためのライフラインの整備工事や、更なる追加工事の発生などのため、H25年8月より運転停止となった状態が続いている。そのため、9月と11月に予定していた実験の実施ができず、その実験のための消耗品費や実験実施のための旅費等が未使用となっている。 京都大学原子炉実験所の研究炉の運転再開に合わせて、現在までに実施できていない実験を行う。実験の準備はほぼ本年度に終えているが、期限の過ぎた試験体の作り直し費用や実験時に必要な材料費(消耗品)、実験実施のための旅費(調査・研究旅費)、実験実施補助者への謝金(人件費・謝金)、報告書作成費に使用することを計画している。
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