2012 Fiscal Year Research-status Report
高炉セメントを使用した港湾RC構造物の塩害耐久性に関する研究
Project/Area Number |
23560548
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大即 信明 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (40211106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 豪 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90452010)
西田 孝弘 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (10345358)
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Keywords | 高炉セメント / 港湾RC / 塩害抵抗性 |
Research Abstract |
平成24年度の研究では,主に目的(2)-(3)を達成するため,以下に示す計画に従い検討を進めた.一般に,塩化物イオンの浸透抑制(塩化物イオンのセメント生成物中への固定化の程度)は,セメント水和生成物の一つであるモノサルフェートの生成量が多いほど顕著になると言われ,ポルトランドセメントの場合では,セメント中に含まれるC3SやC3A含有量が多いほど塩化物イオンの固定化が促進される.そこで本年度は,普通ポルトランドセメントおよび置換率(45,55,70%)の異なる高炉セメントを設定し,各種セメントの鉄筋の腐食発生限界塩化物イオン濃度を調査した.なお,各ケースに対しては,鉄筋入りモルタル試験体を複数体作製し,内在塩化物イオン(練混ぜ時から塩化物が供給されるケース)および外来塩化物イオン(硬化後に外部から塩化物イオンが浸透するケース)の2ケースを検討した.その結果,内在塩化物イオン(主に海水由来)が存在した場合でも,高炉セメントを用いることにより,腐食ひび割れが生じるまでの期間を長期化することができることが分かった.特に,置換率55%の高炉セメントを用いた場合,腐食ひび割れが生じるまでの期間は,普通ポルトランドセメントの場合の約4倍となる40年となることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下の項目を目的とした検討を実施している.すなわち,(1)高炉セメントを使用し建設後15年経過した港湾RC構造物の調査,(2)普通ポルトランドセメントを使用し建設後30年経過した港湾RC構造物の結果整理,(3)室内実験による高炉セメントの塩害抵抗性に関する検討,(4)実暴露実験による高炉セメントの塩害抵抗性に関する検討,(5)上記(1)-(4)の総合評価とこれらを踏襲した港湾RC構造物のLCC分析を目的としている. これらのうち,目的(1)~(3)については,当初の予定通り結果が得られており,(4),(5)についても,一部結果を得ている.また,高炉セメントと同様のコンクリート混和材としての利用が期待されるフライアッシュについても併せて検討を実施しており,当初の予定以上の成果が得られていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,これまでの検討に引き続き,高炉セメントを使用した場合の港湾鉄筋コンクリート構造物の塩害抵抗性について,定量的な分析を実施する.特に,これまでの検討結果を総合的に評価し,高炉セメントの有用性を示すとともに,その成果を学会発表等を通じて一般に広く公開していく. 併せて,高炉セメントと同様に耐塩害抵抗性が期待でき,副産物としての利用が望まれるフライアッシュについても併せて検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(5 results)