2013 Fiscal Year Annual Research Report
火害を受けたプレテンションPC部材中PC鋼材の付着特性と残存耐荷力の評価
Project/Area Number |
23560558
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 晋 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30168447)
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Keywords | PC鋼材 / 火災 / 高温履歴 / 付着 / 残存プレストレス / 残存耐荷力 / プレテンション部材 / 熱伝導解析 |
Research Abstract |
最終年度においては,昨年度までに実施した試験結果,ならびに新たに実施したPCはりの加熱・載荷試験結果を取りまとめ,火災による高温履歴がプレテンションPCはり部材の残存プレストレスや残存耐荷力に及ぼす影響を総合的に検討するとともに,火害を受けたプレテンションPC部材の残存耐力評価法についての基本的考え方を示した。さらに,熱伝導解析によるPC鋼材の受熱温度の推定を試み,その妥当性を検証した。 PCはりの載荷試験からは,700℃~1100℃の高温加熱を30分間受けた場合,最大耐力はかぶり30mmで13~15%,かぶり50mmで7~11%低下する一方で,かぶり70mmの場合はほとんど低下しないことが明らかとなった。このことから,かぶりを大きくすることで最大耐力の減少を抑制することが可能となり,とくに,かぶりが70mm確保されている場合には最大耐力に対する火災の影響はほとんど見られないことが確認された。一方,荷重-中央変位関係に着目すると,高温加熱を受けた供試体の初期剛性は加熱を受けていないものと比べ低下し,その程度は加熱温度が高いほど大きくなる傾向がうかがえた。かぶりを大きくすることで初期剛性の低下を抑制することは可能であるが,かぶりが70mm確保されている場合においても初期剛性はひび割れの影響により若干低下することが確認された。 導入プレストレスの加熱による減少率は,加熱温度が高いほど,また,加熱時間が長いほど大きくなる傾向が見られたが,その減少率は付着強度試験結果から推定されるほど大きくはなく,端部定着部が高温履歴を直接受けない場合は,最大でも9%程度にとどまることが明らかとなった。 さらに,本研究で採用した簡便な熱伝導解析手法により,コンクリート内部の受熱温度をおおよそ推定することができ,PC鋼材の受熱温度と残存耐荷力を関連付けることができることを示した。
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