2011 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート構造物の耐久性向上に有効な表面保護材料の開発とその評価
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23560559
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鶴田 浩章 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (90253484)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 表面保護材料 / コンクリート構造物 / 表面含浸材 / 低温アーク溶射 / シラン系 / けい酸塩系 / 併用 / 耐久性 |
Research Abstract |
平成23年度においては、(1)けい酸塩系およびシラン系含浸材の塗布量と性能の関係の評価、(2)両含浸材の養生期間の影響、(3)新材料の開発;混合系含浸材の混合割合の影響と併用系の性能評価、(4)低温アーク溶射の溶射材料の主成分の影響のうち、(1)と(2)、(4)について先行して試験を行う予定であったが、結果的に(1)と(2)、(3)の併用系の試験を行った。使用した含浸材は、けい酸塩系では、けい酸ナトリウム、けい酸リチウムを主成分とする2種類、シラン系ではアルキルアルコキシシラン、シラン・シロキサンを主成分とする2種類とした。 (1)については、いずれの含浸材においても、標準塗布量以上に多くの塗布量を含浸しても、さほど劣化要因に対する抑制率は向上しなかった。(2)については、けい酸塩系は養生期間の長短で抑制率に変動が見られ、標準より短い場合に効果が若干低下し、シラン系は短期間で効果を発揮するという結果が得られた。(3)については、予備検討を行い、けい酸塩系含浸材を塗布した後に、シラン系含浸材を塗布する併用系の検討を行い、けい酸塩系:シラン系=2:8の割合の場合(KS28)がもっともよい効果を発揮し、遮水性においてはKS28がもっとも優れ、中性化抵抗性においては、けい酸塩系がもっとも優れた結果を示しKS28もほぼ同等の優れた効果を示した。混合系については、含浸材メーカー側での試作がうまくいかず、試験を行うことができなかった(4)については、(1)と(2)の実施に時間を取られ、試験に取り組むことができなかった。 以上の結果より、含浸材の塗布量と養生期間についての基礎的なデータが取得できたことは今後のためにも意義があった。また、含浸材を併用することで、単独の塗布の場合よりも優れた効果が得られることが分かった。新たな施工方法の開発のヒントを得ることができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)と(2)は、順調に進展しており、(3)では混合系の開発が遅れて手つかずの状態であるが、併用系の方では予備試験がかなり順調に進展した。(4)については手つかずの状態である。総合すると、(3)の一部と(4)が手つかずであり、(1)、(2)、(4)における分析が実施できなかったことから、やや遅れていると判断した。しかし、(3)の併用系で予想以上の進展があったことから、平成24年度には検討の進展が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降で、課題となっている検討を行う。 特に、混合系含浸材の開発が難航していることから、メーカー側に併用系のデータや文献を提供することにより、開発が促進できるように努める予定である。状況によっては市販されている混合系含浸材を入手して検討を進めていくことも対策として考えている。 また、低温アーク溶射についても、メーカーと施工者は非常に協力的であるので、年度の早い時期に打合せを行って、検討を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画としては、設備備品費の購入予定はなく、消耗品費については実験用の薬品や材料の購入にあてる予定である。 また、繰越金\483,472については、研究の進捗に伴い、予定していた成分分析ができなかったこと、資料収集のための国内出張に学内事項が重なり行けなくなったことで、発生したもので、その他と国内旅費の分が繰越しとなった。そこで、平成24年度においては本繰越金と当該研究費と合わせた額を用いて、遅れている混合系の含浸材の検討と含浸材の含浸深さを測定するための分析を当初計画に加えて研究を実施する予定である。混合系の含浸材の検討では、含浸材の開発の促進、あるいは市販品の入手による検討のいずれかで対応し、含浸深さの測定の検討では文献調査から得られた結果を踏まえて分析手法を選定し、成分分析を外注で行う計画である。 さらに、外国旅費については予定の国際会議に日程の都合により参加できなくなったことから、ニューヨークで2013年6月に開催される国際会議への参加に切り替える予定である。また、国内旅費については、講義や学内事項との関連で若干の変更があると思うが、情報収集や意見交換ができるように使用する予定である。
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