2012 Fiscal Year Research-status Report
コンクリート構造物の耐久性向上に有効な表面保護材料の開発とその評価
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23560559
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
鶴田 浩章 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (90253484)
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Keywords | 表面保護材料 / コンクリート構造物 / 表面含浸材 / 低温アーク溶射 / シラン系 / けい酸塩系 / 併用 / 耐久性 |
Research Abstract |
平成24年度においては、前年度に引き続き(1)けい酸塩系およびシラン系含浸材の塗布量と性能の関係の評価、(2)両含浸材の養生期間の影響、(3)新材料の開発;混合系含浸材の混合割合の影響と併用系の性能評価、(4)低温アーク溶射の溶射材料の主成分の影響 について検討を行った。 (1)と(2)については、23年度からの継続測定を行った。(3)については、メーカーによる混合系の開発が難航し、新たな含浸材サンプルを得ることができなかったため、今後、市販の製品を使用して検討することにした。一方、併用系については詳細な検討を行い、1)けい酸塩系、シラン系の塗布割合の検討、2)主成分の異なる2種類のけい酸塩系と3種類のシラン系の組み合わせによる性能評価、3)含浸材の併用時の塗布間隔に関する検討の3つを行った。1)では、塗布割合をより詳細にけい酸塩系:シラン系=1:9、2:8、3:7の3種類で検討を行ったが、大きな違いが認められなかった。2)では6通りの組み合わせで含浸材を併用して、塗布割合を2:8、5:5、8:2としたが、大きな差異は認められず、併用系の効果が高いことは確認できた。3)ではけい酸塩系塗布後、シラン系を塗布するまでの時間を12、24、36時間として検討を行い、大きな差異は確認できなかったが、透水試験に関しては塗布間隔が長くなるほど効果を発揮していることがわかった。(4)については、低温アーク溶射材料として、アルミニウム、亜鉛、それらの合金の3種類を用いて、材料そのものの効果を検討した。その結果、封孔処理を施していない影響が大きく、よい効果は認められなかった。 また、含浸材を適用したコンクリートの性能評価に用いる予定の透水透気試験機に不具合があり、それを用いた検討はできなかった。また、けい酸塩系の含浸深さの分析についても透水透気試験と並行して行う予定であるため、実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的の(1)含浸材塗布量と性能の関係評価と(2)含浸材の養生期間の影響については、ほぼ達成できたものと言える。(3)新材料の開発:混合系含浸材の混合割合の影響と併用系の性能評価については、混合系の評価ができていない点が目的を達成していないが、併用系の検討に関してはほぼ順調に進捗して結果が出ている。(4)溶射材料の主成分の影響については、24年度の検討で、封孔処理の影響が大きいことが明確になったために、次のステップの課題が明らかとなった。 したがって、達成度としては大まかな目途はついてきたが、計画に対しては予定どおりといえるほど進展していないので、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
(3)の混合系については、市販の製品を入手済であり、25年度にそれを用いた検討を行うことにより、併用系との比較を行う予定である。(4)については、24年度の結果を受けて、既に溶射メーカー、施工者に封孔処理を施した条件での施工をお願いしている状況であり、25年度早々に試験を行う予定である。また、透水透気試験機を使った検討もできるようになったと考えられるので、けい酸塩系の含浸深さの分析も含めて25年度に推進していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の使用計画としては、設備備品費の購入予定はなく、消耗品費については実験用の薬品や材料の購入にあてる予定である。また、繰越分約130万円については成分分析等ができなかったことや混合系の検討ができなかったことが大きいため、25年度にはその分の検討に経費を使用していく予定である。また、外国出張については、2013年6月ニューヨークでの国際会議に出席を考えていたが、研究テーマがマッチせず、見送りとなった。講義との兼ね合いも考慮し成果を発表できそうな国際会議があれば、出席することを考えているが、現時点では詳細は未確定である。国内旅費については、関係する最新情報の入手や成果の発表のために使用する予定である。
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