2012 Fiscal Year Research-status Report
複合材料のエネルギー吸収性能最大化―マルチスケール構造最適化法の新導入
Project/Area Number |
23560561
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 準治 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (00594087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京谷 孝史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00186347)
寺田 賢二郎 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (40282678)
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Keywords | マルチスケール解析 / トポロジー最適化 / 均質化法 / 材料非線形 |
Research Abstract |
複合材料は,軽量かつ高強度という優れた性質をもち,防災,維持補修の上でも今や必要不可欠な建設材料である.一方,これらの複合材料は,その強度の高さ故に脆性的な破壊挙動を示すという問題を有し,さらにミクロレベルにおける材料挙動がマクロ構造の破壊挙動に大きく影響するという複雑なメカニズムを呈することから,マクロな構造挙動を制御するのは困難である.そこで,本研究では,数理的アプローチのひとつである構造最適化手法を用い,脆性破壊を起こす複合材料の靱性を向上させる手法の確立を目的とする.これらの条件から,本研究では材料の非線形特性を考慮した解析に加え,異なるスケール間の構造問題を解く,マルチスケール解析法の導入が必要であり,さらにそれに対して最適化を実施するという,極めて数値計算量が大きくなることが問題となる.これより,数値計算量を極力小さく抑えることが可能な手法を開発する必要がある.本研究では,(1) ハイスペック数値計算機の導入およびその環境設定, (2) 数値計算量を縮小できるマルチスケール解析法の導入とプログラム実装, (3) 上記(2)のマルチスケール解析を適用したミクロ構造トポロジー最適化手法の開発および3次元問題への拡張, (4) 材料非線形(塑性モデル)を用いた最適化手法の開発を実施するが,これまでの研究で(1), (2)を完了し,(3)については昨年度3次元問題にまで拡張することに成功した.(4)は,マクロスケール単独で概ね完了しており,本年度は,これらを統合する作業を実施する.これらの結果は,既に学術論文にも投稿されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記に示した当該年度の成果(2),(3)については,研究実施計画ではH24年度に行う予定の項目であったが,これらはH23年度に前倒しで実施し,目的を達成することができた.これは,当該年度にハイスペック計算機を導入することができたことで,実装したプログラムの検証を早期に実施することができたためである.これにより,計算量が大きくなる3次元問題への拡張も概ね完了させることができた.また, (4)の非線形問題への拡張については,最も計算量が多くなるところであるが,これに関してもマクロ構造のトポロジー最適化について成果を得ることができた. すなわち,ハイスペック計算機の早期導入が主な理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はマルチスケールトポロジー最適化法を材料非線形問題へ,さらに3次元問題へ拡張することである.当初の予定よりも進んでいることもあり,今後は従来型の準差分法による感度解析ではなく,解析的手法の理論開発を実施し,プログラムに実装することでさらなる計算効率の向上を目指す. 得られた成果は,国際的な学術論文に提出することを念頭に,理論的に明確な説明ができるように整理する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
成果発表による旅費およびデータストレージ.また,プログラミング作成の精度向上および効率化を目的として,プログラム作成支援ソフトの購入に充てられる.
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Research Products
(6 results)