2012 Fiscal Year Research-status Report
コンクリートおよび鋼材との界面におけるクリープ挙動に基づく合理的設計手法の開発
Project/Area Number |
23560563
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60292645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅本 晋吾 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50436333)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 鋼-コンクリート複合構造 / 引張・付着クリープ / 収縮ひび割れ / ずれどめ / 持続荷重 |
Research Abstract |
本研究課題は,引張・付着クリープを考慮した収縮ひび割れ予測手法の構築,および鋼-コンクリート複合構造接合部の変形特性の構造挙動への影響度評価を目的としており,大きく分けて(1)引張・付着クリープを考慮したRC部材の収縮ひび割れ予測手法の構築とクリープを考慮した地中RC構造物の設計合理化,(2)鋼-コンクリート複合構造接合部のクリープ挙動の解明と構造特性への影響評価,に関する研究を行うものである。 当該年度の研究目的は,主として鋼-コンクリート複合構造接合部のクリープ挙動の解明と構造特性への影響評価である。頭付きスタッドを対象として,鋼桁とコンクリートブロックをずれ止めで接合した供試体を用いた載荷実験を行った。その際,せん断力を持続的に載荷するケースと,コンクリートブロックに圧縮力を持続的に載荷するケースの2通りを検討し,いずれも最終的には破壊に至らしめる押し抜きせん断載荷を行った。その結果,持続せん断力の影響は,ずれ止めのずれ変位量に影響し,その影響度は持続せん断力レベルが高いほど大きくなるが,最大ずれ変位と残留ずれ変位の関係は,持続載荷の有無によらず一意的に決まることが明らかとなった。また,コンクリートへの圧縮載荷の影響は,荷重が持続的であるか瞬時的であるかによらず,除荷・再載荷の履歴曲線形状に影響を及ぼすとともに,同一ずれ変位に対する残留変位の割合が大きくなることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鋼-コンクリート間ずれ止めの持続荷重下における挙動が明らかにされた。別途行ったコンクリートのクリープ試験の結果も踏まえると,持続荷重下におけるずれ止めのずれ変位増大量はある程度予測可能であるとともに,既存のスタッドモデルをほぼそのまま適用可能である見通しがついたと言える。圧縮力の影響については,残留ずれ変位の増大に影響するものの,再載荷剛性も同時に向上することから,構造物適用時の影響はそれほど大きくないことが示唆される。以上のスタッドずれ挙動の時間依存性を明らかにしたことから,次段階の構造物としての設計合理化のステップへ進むことが可能であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本研究課題の最終年度であり,主たる研究対象である地中RC構造物と鋼-コンクリート複合構造物の設計合理化の検討を行う。コンクリートのクリープ性状と,それに基づくずれ止めの時間依存挙動が明らかとなったので,これを組み込んだ構造解析を行うことにより,コンクリートのクリープ変形およびずれ止めの時間依存性ずれ変位を考慮した合理的設計法の提案を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ずれ止めの時間依存挙動の検証を行うための押し抜き試験を追加的に実施する。研究費の用途としては,コンクリートや鉄筋,ひずみゲージなどの消耗品の他,H型鋼や頭付きスタッドおよびそれらの溶接費用などが必要となる。
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