2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23560566
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
清水 茂 信州大学, 工学部, 教授 (90126681)
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Keywords | ハイブリッド鋼桁 / 垂直座屈 |
Research Abstract |
普通鋼と高強度鋼の混合桁であるハイブリッド鋼桁について、その崩壊形式を、特に曲げのもとでのフランジ垂直座屈に注目し、数値計算により調べた。主な成果は次の通りである。 1.完全に等しい2点載荷の場合、垂直座屈は発生せず、フランジねじれ座屈が発生した。一方、左右の荷重の大きさに1%の差がある場合は、腹板やフランジの板厚に応じ、フランジ垂直座屈、フランジねじれ座屈のいずれかが発生した。このことから、フランジ垂直座屈は荷重の非対称性敏感であることがわかった。 2.フランジねじれ座屈が発生する場合は、荷重は最大値に達した後に漸減するが、垂直座屈が発生する場合、その荷重は極めて急激に低下する。つまり、フランジ垂直座屈は、万一発生した場合、極めて危険な崩壊形式となる。 3.Baslerは、I型鋼桁のフランジ垂直座屈について、その発生の有無を、腹板の幅厚比を用いて照査する式を提案している。しかし、清水が携わった実験で垂直座屈が発生した試験体、前述の数値解析の結果、いずれにおいても、Baslerの式で垂直座屈が発生しないはずのモデルで垂直座屈が確認された。本研究の結果によると、垂直座屈の発生の有無は、腹板高さには、ほとんど依存していない。この事実は、垂直座屈を腹板の幅厚比で照査しているBaslerの式が、必ずしも適切ではないことを示唆している。 4.Baslerは、腹板を、上フランジからの圧縮を受ける板要素と考え、フランジ垂直座屈を、一種の腹板の座屈として照査式を求めている。一方、研究で得られた結果を見ると、垂直座屈が発生した際の腹板は、その上部のみが変形し、下側では面外変形はほとんど見られない。このことは、腹板の下部は、垂直座屈という現象にはほとんど寄与していないことを示唆している。垂直座屈発生の有無が桁高に依存していないのとは、このことが要因と考えられる。
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Research Products
(1 results)