2011 Fiscal Year Research-status Report
橋梁-車両系の動的応答解析とモンテカルロ法を用いた疲労設計用衝撃係数の定式化
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23560571
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中村 聖三 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40315221)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 構造工学 / 長寿命化 / 衝撃係数 / 疲労 |
Research Abstract |
現在の道路橋示方書(以下,道示)では,疲労を照査すべき限界状態のひとつとしており,具体的な照査方法が鋼道路橋の疲労設計指針(以下,指針)に示されている.道示における衝撃係数の算定値は,支間長のみの関数として与えられており,指針では道示の値の1/2を疲労設計用の衝撃係数として用いてよいと規定されている.しかしながら,この値が疲労損傷度に対する動的効果を適切に表しているか否かは必ずしも明確ではない.そこで今年度は,2自由度系にモデル化した単軸車両モデルによる動的応答解析とモンテカルロシミュレーションを組み合わせた疲労設計用衝撃係数算定プログラムを作成し,車両質量を確率変量とした場合の試算を行った.その際,橋梁の支間長,路面の状態,車両速度を変化させ,それぞれの値が衝撃係数に与える影響を検討し,以下のような結果を得た.(1) 支間長20m,30m,40mに対して衝撃係数を算定したところ,道示の規定とは逆に,支間長が長くなるにつれて衝撃係数が小さくなった.(2) 衝撃係数の値は,路面状態によって大きく変化し,指針の規定する値と比べて安全側となったのは,路面状態が「極良」の場合のみであった.(3) 車両速度も衝撃係数に対して一定の影響があり,速度20,40,60km/hに対する衝撃係数の変化は単調ではなく,40km/hで最大となった.(4) 今回解析を行ったほとんどのケースで,現在指針にて規定されている値よりも大きな衝撃係数が算出され,指針の規定する値では路面の状況によっては疲労損傷に対する走行車両の動的効果を過小評価している可能性があることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記した今年度の到達目標の通り,橋梁上を重量が確率的に変化する1種類の車両が走行する場合について疲労設計用衝撃係数の検討を行うための基本的な解析プログラムを開発し,スパンの異なる数種類の標準的な鋼鈑桁橋を対象に疲労設計用衝撃係数の検討を行うことができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度請求する研究費を利用し,多軸車両モデルも考慮できる疲労設計用衝撃係数解析システムを構築し,より現実的な構造条件,交通流条件に対して疲労設計用衝撃係数を算定するとともに,成果を国内外のシンポジウム等で口頭発表し,研究の方向性について議論を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画通り,記録メディア等の消耗品,国内で3回程度,国外で1回の発表を行うための旅費,外国語論文校閲費用,研究補助に対する謝金,汎用FEM解析ソフトウェアの保守費等に使用する予定である.
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Research Products
(1 results)