2011 Fiscal Year Research-status Report
震源域の大きな上下動の影響を含む地盤と基礎と重要生産・社会基盤構造物の応答評価法
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23560574
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
原田 隆典 宮崎大学, 工学部, 教授 (70136802)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 震源断層モデル / 3次元地震動 / 地震動上下動成分 / 重要生産・社会基盤構造物の地震時挙動 / 位相波 / コンピュータシミュレーション |
Research Abstract |
震源断層モデルによる地盤の永久変位を含む地震動の作成方法として完全な剛性行列による定式化に成功した。また、これらの地震動作成に必要な動的グリーン関数を直交座標系と2重フーリエ変換から求める方法とその精度を既往の円筒座標系を使った定式化と比較した。 これを用いて大きな上下動を記録した2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形から積分して求めた地盤の永久変位を含む変位波形の再現を行ない、良い一致を得た。 この震源断層・地盤系モデルを使って、想定した数種類の逆断層・地盤系モデルによる地震動を作成し、アーチ橋やトラス橋への上下動の影響を調べた。その結果、断層近傍では大きな上下動の橋梁への影響がわかったので、その対策法等を検討してゆく予定である。 また、断層最短距離が20km以内で観測された地震動記録から表層地盤特性を考慮して地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比(V/H)を求め、そのモデル化を行なった。このV/Hと位相波の概念を使い、地震動水平成分波形が与えられたときに、地震動上下成分波形を作成する方法を提案し、2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形の上下成分波形が再現できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、理論的方法に基づいて震源断層・地盤・基礎・構造物系の非線形地震応答挙動に及ぼす地盤の永久変位を含む大きな上下動成分の影響を定量化することを目的としている。 初年度には、震源断層・地盤系モデルによる地盤の永久変位を含む3次元地震動作成方法に関して、完全な剛性行列による定式化に成功した。また、これを用いて大きな上下動を記録した2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形から積分して求めた地盤の永久変位を含む変位波形の再現を行ない、良い一致を得た。 この震源断層・地盤系モデルを使って、想定した数種類の逆断層・地盤系モデルによる地震動を作成し、アーチ橋やトラス橋への上下動の影響を調べた。 断層最短距離が20km以内で観測された地震動記録から表層地盤特性を考慮して地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比(V/H)を求め、そのモデル化を行なった。このV/Hと位相波の概念を使い、地震動水平成分波形が与えられたときに、地震動上下成分波形を作成する方法を提案し、2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形の上下成分波形が再現できることを示した。 したがって、研究目的は順調に達成しているものと判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)重要生産施設として、ガスタンク・パイプライン系、大型クレーン、タンクを取り上げ、上下動の影響を調べる。東日本大震災の被害状況を考慮し、津波と地震動による複合現象のコンピュータシミュレーションモデルを作成する。(2)震源断層近傍の橋梁の応答挙動への基礎・地盤系の影響を調べる。(3)これらの3次元非線形応答解析モデルを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)初年度の研究成果を第15回世界地震工学会議で発表するための旅費。(2)初年度や本年度の研究成果を国内研究会で公表するための旅費。(3)コンピュータグラッフィック機能やメモリ機能の向上のための経費。(4)研究に必要な消耗品購入経費。(5)研究協力者への謝金。
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