2012 Fiscal Year Research-status Report
震源域の大きな上下動の影響を含む地盤と基礎と重要生産・社会基盤構造物の応答評価法
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23560574
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
原田 隆典 宮崎大学, 工学部, 教授 (70136802)
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Keywords | 震源断層モデル / 3次元地震動 / 地震動上下成分 / 位相波 / 重要生産・社会基盤構造物の地震時挙動 / 動的グリーン関数 / 津波と地震動による複合応答 |
Research Abstract |
(1)震源断層から地表面に至る地震動作成に必要な水平成層弾性体における動的グリーン関数を直交座標系と2重フーリエ変換から求める剛性行列方法(2011年度成果)をさらに整理し、その計算方法の妥当性とその精度を既往の円筒座標系を用いた定式化による結果並びに、軸対称有限要素法の結果を比較して示した。本方法の特徴は、連立方程式を解くという計算方法の簡便性と数値計算上の安定性が従来の方法に比べ優れていること並びに、1度の計算により3次元水平成層弾性体の全ての離散点の変位波形が求まることの2点である。従って、地震動の空間・時間的変化を必要とする計算に便利である。 (2)断層最短距離が20km以内で観測された地震動記録から表層地盤特性を考慮して地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比(V/H)を求め、表層地盤特性を考慮したモデル化を行なった。このV/Hと位相波の概念を使い、地震動水平成分波形が与えられたときに、地震動上下成分波形を作成する方法を提案し、2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形の上下成分波形が再現できることを示した。さらに、断層震源モデルを使って、2008年岩手・宮城内陸地震の逆断層近傍の大きな上下成分を含む地震動を再現できることを示した。 (3)2011年東日本大震災による津波による構造物被害を再現する3次元非線形応答挙動に関するコンピューターシミュレーション手法を開発し、流出橋梁の再現を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、理論的方法に基づいて震源断層・地盤・基礎・構造物系の非線形地震応答挙動に及ぼす地盤の永久変位を含む大きな上下動成分の影響を定量化することを目的としている。 初年度の成果を発展させ、地震動作成に必要な合成行列法に基づく動的グリーン関数の計算法の手順を整理し、既往の方法や有限要素法と比較し、その妥当性と精度を確認できた。また、これを用いて大きな上下動を記録した2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形から積分して求めた地盤の永久変位を含む変位波形の再現を行ない、良い一致を得た。 断層最短距離が20km以内で観測された地震動記録から表層地盤特性を考慮して地震動上下成分と水平成分のフーリエスペクトル振幅比(V/H)を求め、そのモデル化を行なった。このV/Hと位相波の概念を使い、地震動水平成分波形が与えられたときに、地震動上下成分波形を作成する方法を提案し、2008年岩手・宮城内陸地震による観測加速度波形の上下成分波形が再現できることを示した。 本年度は地震動の計算方法や実記録の再現をしたが、構造物への上下動の影響や基礎の影響については、十分な成果を出していないものの、2011年東日本大震災の津波による構造物被害に鑑みて、津波による橋梁の流出再現のコンピュータシミュレーション手法を開発した。このような理由から、研究目的は順調に達成しているものと判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)重要生産施設として、タンクを取り上げ、上下動の影響を調べる。東日本大震災 の被害状況を考慮し、津波と地震動による複合現象のコンピュータシミュレーションモデルを作成する。 (2)震源断層近傍の橋梁の応答挙動への基礎・地盤系の影響を調べる。 (3)これらの3次元非線形応答解析モデルを開発する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)初年度や本年度の研究成果を国内研究会で公表するための旅費。 (2)コンピュータグラッフィック機能やメモリ機能の向上のための経費。 (3)研究に必要な消耗品購入経費。 (4)研究協力者への謝金。
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