2012 Fiscal Year Research-status Report
地震地すべりにおける層理面の動力学特性評価と滑動変位算定法の開発
Project/Area Number |
23560591
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鈴木 素之 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00304494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅崎 健夫 信州大学, 工学部, 准教授 (50193933)
梅村 順 日本大学, 工学部, 講師 (70256816)
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Keywords | 地震 / 地すべり / 層理面 / リングせん断 / せん断強さ |
Research Abstract |
地震地すべりは,土質・岩質,土の締り具合,強度や剛性が深さ方向で急激に変化する不連続面(層理面)をすべり面として発生するケースが多い.このことから,地震時の斜面安定度の評価や滑動変位量の予測では,弱面となる層理面での動的せん断特性の解明が非常に重要である.本研究では,ある面を境界として材料強度が相異する供試体を作成して,同供試体を用いて動的載荷条件でのせん断特性を明らかにすることを主目的としている.これまでに現有の繰返し載荷リングせん断試験機において,せん断層の土の挙動を「その場観察」ができる「透視型リングせん断容器」に変更し,それに対応したマクロズーム映像システムを導入した.また,リングせん断容器は供試体内部の間隙水圧を測定できる構造に改良した.その他に,土試料にセメント固化処理を施すことにより,層理面を模した供試体を作成する技術を確立し,非固結土及び固結土のせん断特性を明らかにした.本年度の研究では,同供試体の破壊プロセスやせん断挙動を明らかにするために,リングせん断容器に小型の間隙水圧計を装着して,せん断時の過剰間隙水圧を計測するシステムへと実験の高度化を進めた.その結果,粘土供試体を用いる実験では,せん断容器への供試体の挿入時に,試料の乱れやベディングエラーの不具合が生じることが明らかになった.しかしながら,整形リング内寸の調整やリング組立手順の修正などにより,大きな変更を伴わずに解決できる見通しがたった.一方,固結砂を用いた実験では,ほぼ支障なく実験が可能であることを確認した.その他,地震地すべりに関する内外の研究動向や成果資料を取得・整理することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画に提示したとおり,リングせん断容器への間隙水圧計の装着,脱気水供給経路の追加などを行い,供試体内部の間隙水圧を測定するための実験・計測システムへの変更を完了することができた.また,粘土供試体を用いた実験から,実験方法の改善を行った.砂や固結砂に対しては,個々の動的せん断特性はある程度把握することができた.粘土に対しては実験上の課題が明らかになったが,概ね解決の見通しが立った.貼り合せ供試体については,必ずしも十分な検討ができなかったので,次年度の優先課題とした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,層理面を模した貼り合せ供試体のせん断特性の検討と解明を進めることを優先する.また,その結果に基づいて,Nwemark法を基礎とした地震時の層理面の滑動変位算定法の計算スキームを開発し,その妥当性を検証する.また,諸条件が整えば,岩手県等の地震地すべり発生地での現地調査や現場試験を実施したい.なお,その結果は室内試験結果のチェックに利用する.これまでの全ての結果を整理・検討し,研究成果のとりまとめを行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費としては,間隙水圧測定のためのデータロガーの計測チャンネル増設と軸の劣化摩耗のため動作性が悪くなったベロフラムシリンダーの交換等が必要となるため,それらの調達のために一定の研究費を使用する予定である.また,研究成果のとりまとめに向けた研究打合せや成果発表・ディスカッションのための旅費,実験で随時必要となる固化材やろ紙などの消耗品に研究費を充てる予定である.
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