2012 Fiscal Year Research-status Report
セメントと生石灰による化学的地盤改良における強度発現と劣化のプロセスに関する研究
Project/Area Number |
23560592
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
根上 武仁 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30325592)
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Keywords | 化学的地盤改良 |
Research Abstract |
平成24年度は、石灰およびセメント添加による強度改良効果と,地盤環境の変化による改良強度の低下について明らかにすることを目的とし、有明粘土および液性限界状態に調整したカオリン粘土に固化材を添加し、所定の養生条件で養生した供試体について力学試験と微視的土構造の観察を実施した。また、有明粘土が広く堆積する佐賀平野の土質情報を把握するため、既往の文献調査を行うとともに、佐賀市川副町犬井道で採取されたシンウォールサンプラー試料(2m~11m)に対して、物理化学的性質および力学的性質に関する一連の土質試験を実施した。シンウォールサンプラー試料の土質試験結果と、既往の文献から得られた知見を併せて、平成24年度土木学会西部支部研究発表会で発表している。 一連の土質試験結果から、貝殻の存在が確認できたことから調査した試料は有明粘土であることが判明し。同時に堆積当初は還元的な環境であったことが推測された。しかし、採取深度によっては、pHはあまり低くないがORP(酸化還元電位)が高い部分も確認できた。地下水流動などにより、これらの層に酸素が供給された場合、酸化が進行して硫酸イオンが生成され、結果として酸性化が進むことが推測できた。 本研究に取り組むに際し、研究代表者(根上武仁)は酸性化が進行した場合に改良地盤が受ける影響について既に一部検討し、改良体が硫酸イオンを含む溶液にさらされた場合、強度低下が生じること明らかにしている。平成24年度に行った研究内容は、実際の地盤内でも酸化による地盤の酸性化が生じることを示唆するものであり、これが改良地盤の強度低下の一因であることを示せたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、軟弱な有明粘土を固化材添加による強度改良した場合の強度発現のプロセスと、固化材添加による強度増加後に生じる強度低下の原因を明らかにすることである。固化材添加による強度改良効果に関しては、固化材添加後に一定期間養生して固化したものについて、地盤内で環境変化が生じたことを想定し、蒸留水と希硫酸溶液、塩水の状態を設定し、各溶液中で養生した場合の強度変化について既に検討を行っており、その結果について発表している。固化材添加による生成物の化学的分析については、まだ結果が得られていないが、改良強度の変化やpH等の変化などの得られた成果を考慮すると、本研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果から、化学的改良を施した改良地盤における強度低下現象は、地下水の水質変化も関係していることを明らかにした。地下水位が低下し、飽和状態であった層が不飽和となり、乾湿の影響を受ける可能性があり、今後はこの点について検証しておく必要があると考える。平成25年度は、研究計画に沿って、これまでと同様に固化材としてセメントおよび生石灰を準備し、有明粘土とカオリンの強度改良を行い、乾湿繰り返しの影響について検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、物品費についてはカオリン粘土やプラモールドなどの消耗品で32万円,旅費については国内の学会参加費用と研究打ち合わせで10万円,人件費・謝金については,土質試験補助で10万円,その他の項目については科学分析費用等で28万円の支出を計画している。なお,前年度繰越金の177675円については,物品購入費用および謝金に充てる予定である。
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