2011 Fiscal Year Research-status Report
著しい非線形領域における土の繰返しせん断特性試験法の開発
Project/Area Number |
23560593
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
吉田 望 東北学院大学, 工学部, 教授 (50405891)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
規矩 大義 関東学院大学, 工学部, 教授 (70251759)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 繰返しせん断特性 / 単純せん断試験 / 大ひずみ / 静止土圧係数 |
Research Abstract |
本研究では,大地震時の地盤の力学挙動を再現する試験法を開発し,その挙動を求めることにある。そのために,これまで研究ではほとんど用いられてこなかった,単純せん断試験を用いた試験を改良することにした。当初想定したのは,側方の伸びひずみが生じない新しい単純試験装置として,ドーナツ状のテフロンシートを積み重ねた試験装置を検討したが,この方法では側圧は試料作成時に自動的に決まってしまうので,適当でないことがわかった。同じ理由で,ワイヤーメンブレンを用いた試験も適当でない。そのため,通常のゴムスリーブを用いた試験を行うことにし,非常の手間のかかる方法であるが,軸方向の変位を拘束し,側方変位が発生しないように手動で側圧を制御することにした。試験条件は,4通りとした。すなわち,等方圧密(K0=1)と異方圧密(K0=0.5)の2種類の初期応力状態で,単調載荷と繰返し載荷を行うものである。また,試料は相対密度50%,70%の豊浦砂と木節粘土の3種類で,合計12の試験を実施した。この実験で最も興味のあるのは試料のK0応力状態が過剰間隙水圧の発生に伴いどのように変化するかということであったが,いずれの試験でもK0の値は単調載荷時には破壊ひずみまで(2~3%)は増加し,その後減少するが,最終的には1に近づくことがわかった。一方,繰返し載荷時には,K0の変化は側圧の変化と相似の形状で変化しており,その平均値は次第に大きくなっていくことがわかった。このことは,有効上載圧が次第に低下することを意味している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定に従い,着々と研究を進めている。現在のところ,予定の試験は終了した。試験方法こそ,当初予定の方法がうまくいかなかったが,できなかったところを,手動でひずみを制御するという手間のかかる方法を用いることによって,結果的には当初予定の成果を得ることができた。得られた結果は,これまで数値解析で示されていた結果とは若干異なっており,今後より詳細な検討が必要となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
限界ひずみを超えるような領域の試験法を開発するのが今後の大きな目的である。前年度に行った単純せん断試験は,実地盤の挙動を見るには有効な試験法であるが,余りにも手間がかかることから全く実用的ではない。そこで,まず昨年度行った試験の結果と既往の試験法の結果の違いを考察し,手間のかかる試験を行わなくてよい方法を考案する。その後,既往の試験法を用いて大ひずみ領域までの実験を行い,その適用性を検討し,もし,適用性に問題があるようなら,新たな方法を検討する。もし,適用できそうなら,新しい試験法として提案する。次に,この試験で行った結果およびわずかではあるが,過去に行われた試験の結果を集め,それらの結果を元にして,大ひずみ領域の挙動のモデル化を行う。これを既往のモデルによる結果と比較するために,地震応答解析を行い,差を明らかにする。最後に,これらの成果をとりまとめる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品は,コピー用紙,プリンターインク,関係図書,実験用品などに用いる。旅費は,研究打ち合わせのために用いる。謝金はデータ整理などのための学生アルバイトに用いる。その他の費用は,実験の外注などに用いる。
|
Research Products
(1 results)