2011 Fiscal Year Research-status Report
既設宅地造成盛土の地震時安全性の定量的評価手法の研究
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23560595
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
安田 進 東京電機大学, 理工学部, 教授 (90192385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 敬祐 東京電機大学, 理工学部, 助手 (00615057)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 宅地地盤 / 造成盛土 / 地震被害 / 締固め |
Research Abstract |
都市近郊に造られた造成宅地盛土の地震被害に対し,盛土および住宅の地震時変形・不同沈下量を求め危険度予測を行う方法を研究するため,本年度は首都圏と東北の盛土材の材料特性をまず調べ,盛土の変形量推定を試みた。 首都圏では関東ロームが造成盛土材として良く使用される。そこで,実際に使用されている関東ロームを採取し,締固め度を変えて繰返し載荷後の静的せん断特性を求める試験などを行った。その結果,締固め度が大きくなるにつれて,せん断剛性や強度が急増することなどが分かった。そこで,代表的な造成宅地の断面を選び,地震時の変形量(宅盤面の沈下・傾斜量)に与える締固め度の影響を研究代表者達が開発してきている解析プログラムのALIDで解析を行った。その結果,宅盤面の上に立つ戸建て住宅に有害な傾斜を与えないためには,この断面では90%程度以上の締固め度が必要なことが分かった。 次に,2011年東日本大震災の際に宮城県,福島県,茨城県の多くの造成宅地で盛土が変状して住宅に被害を与えたため,これらの被災箇所を調査してまわり,代表地点から盛土材の試料を採取した。そして,締固め試験や繰返し載荷後の静的せん断変形特性を求める試験などを行った。また,造成前後の航空写真測量を行って盛土の厚さを調べた。その結果,変状を起こした盛土では締固め度が80%前後と緩かったことが分かった。また,被災した1箇所の断面を推定し,ALIDによる解析を行ったところ,実被害の変状を説明できることが分かった。 なお,盛土材の採取は神戸でも行ったが,室内試験や解析は本年度は行っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では首都圏,札幌,神戸,鹿児島あたりで盛土材を採取する予定であったが,研究開始寸前に発生した東日本大震災において宮城県,福島県,茨城県の造成宅地盛土が甚大な被害を受けたため,急遽,採取地点を少し変更した。それ以外は室内試験,解析ともほぼ予定通り研究を遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
全国の他地区で試料を採取し,試験を継続していく。また,解析方法としてALIDに加えNewmark法を適用し,東日本大震災における実被害と合わせて,解析方法の適用性を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
室内土質試験のためのゴムスリーブや解析のためのパソコン関係の消耗品に使用する。また,札幌などで土の試料採取を行うための旅費に使用する。さらに,実験や解析の補助のために謝金に使用する。
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